NSW州、30,062人新陽性、16人死亡でも
1月9日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、NSW州政府の発表として、1月8日午後8時までの24時間に新たに30,062人が陽性と判定され、また16人が死亡したと伝えている。
NSW州は、2021年12月の規制解除当時、「1月中に1日の新陽性者が25,000人を超える」との予想もあったが、現実はその予想を早くに破り、毎日3万人台の陽性者を出している。さらに、1月8日の死者16人は2020年のパンデミック宣言以来、同州の最悪記録になった。
連日の陽性者数の増加で、医療従事者だけでなく、食料供給チェーン、運輸、製造などの部門のエッセンシャル・ワーカーが濃厚接触者として隔離に入っているため、日常生活用品や食料品の供給が滞り始めている。
遂にドミニク・ペロテイNSW州政権は、これらエッセンシャル・ワーカーに隔離を切り上げ、勤務に戻るよう呼びかけた。
現在、大勢の市民が検査を受けるために検査会場が逼迫していることから、州政府はPCR受検条件を大幅に緩和し、隔離期間も短縮してきた。そのため、新陽性者30,062人という数字についても実数ははるかに大きいのではないか、と想定されている。
1月8日にはNSW州政府が、「週末から、迅速抗原検査(RAT)で自分で検査し、陽性であればService NSW app経由で政府に登録することができるようになる。これは単に感染者数を把握するためだけではなく、基礎疾患を持つ人達のケアをするためでもある」と発表していた。
政府は、RATを5,000万キット追加購入しており、「この変更は、エッセンシャル・ワーカーの公共サービスや、健康弱者に直接配布し、また、オミクロン株蔓延がピークを迎えている間、州全域の必須サービス業務を滞りなく進めていくため、エッセンシャル・ワーカーの欠勤規則を新しく改善することを目的としている」と発表している。
また、1月9日より、隔離中の運輸、農業、製造部門の無症状労働者は、コロナウイルス濃厚接触であっても直ちに隔離を終了し、職場に復帰することができる。職務中はマスクを着用し、毎日RATで検査し、陽性と判定されたり、症状が現れた場合には直ちに自己隔離に入るよう命じられている。
しかし、豪運輸労働組合のマイケル・ケイン全国書記長は、「無謀にも州政府は幾多の警告をすべて無視し、規制を解除してコロナウイルスのアウトブレークを招いた。この政府は労働者を狼の群れに投げ込んだも同然だ」と語っており、さらに、「無症状でもウイルスをばらまく可能性があることは言われてきた。潜在的な病人を職場に復帰させることで供給チェーンが健康的になるわけがない」と政府を批判している。
■ソース
Essential workers permitted to leave isolation as NSW records deadliest day