16,000人に避難命令、100人以上に連絡つかず
2月28日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、NSW州北東部に未曾有の規模の豪雨が襲来し、各地に家屋建物の屋根まで水に浸かる洪水が起きている。そのため、数百人が建物に閉じ込められているか、消息がつかめない状況になっており、男性1人が絶望視されていると伝えている。
NSW州政府は、リズモア、マーウィランバ、マランビンビー、グラフトンなど12郡市町、人口16,000人の住む地域に避難命令を発令した。また、総人口14,000人の周辺地域にも高度警戒を発令している。
リズモア市内では28日夜にはウィルソンズ川の洪水水位が1974年、54年の水害時より2m近く高い14.4mを記録している。また、今後水位がさらに上昇すると見込まれている。
同日、ドミニク・ペロテーNSW州首相は、「まだこれからが重大だ」と発言しており、シドニー地域では今後48時間の間にかなりの強風と洪水が予想されており、6時間ごとの雨量が200mmを超えることも予想されている。
ペロテー州首相は、「人々が命からがら逃げ延びてくる姿を見ることになるかも知れない。または州北東部のリズモア地域からは孤絶したり、立ち往生する人々の悲惨な水害状況が伝えられてきている。過去に洪水になったことがないからといって今週洪水に見舞われないという保証はない。今後、さらに状況が悪化することが予想される」と語っている。
一方、リズモアではフィジー人屠畜場作業員グループが近くの高齢者介護施設から60人ほどの入居者を救助したことも伝えられている。
このNSW州北東部の被災は、26日までQLD州南東部で豪雨と洪水をもたらし、何千戸もの家屋と8人の被害を出した雨雲がもたらしたもので、この雨雲は海岸線に沿って南下しており、NSW州北東部からさらに南下を続けている。そのため、28日午前9時までの24時間にダヌーンでは775mm、ニンビンで537mm、マランビンビーで520mm、リズモアで467mmなどの降雨量を記録している。
この雨雲をつくり出している最大の原因はラ・ニーニャによる夏の湿潤気候であり、例年平均を上回る降雨量、海洋熱波、夜間の高湿度などの現象になっている。このラ・ニーニャ現象は既に衰え始めているが、この気候条件はまだしばらく続き例年を上回る湿潤な気象はまだ2,3週間は続くと予想されている。
被災指定地の住民には被災回復交付金が与えられることになっている。https://www.smh.com.au/politics/nsw/unprecedented-disaster-hits-north-eastern-nsw-with-fears-for-lives-20220228-p5a0g7.html
■ソース
‘Unprecedented’ disaster hits north-eastern NSW, with fears for lives