フィジオセラピストに聞こう 体の痛み改善法 第107回
ランニング続けて大丈夫? けがの前兆を感じとろう
ランニング愛好家の実に70%の人が、オーバーワーク(走り過ぎ)によるけがをランニングを始めて1年以内に経験するという統計があります。けがの箇所としては、ひざが42%と最も多く、次いで足首から下・くるぶしが17%、脚が13%、骨盤・股関節が11%となっています。痛みが既にある場合は、トレーニング内容に問題があることも多く、以下の点をランニング・コーチやフィジオセラピストと相談し、改善しましょう。
・脚力と柔軟性のチェック
・ランニング・コースの表面やその地形など
・ランニング・シューズの向き・不向きなど
では、けがの前兆を自分で認識し、ランニングを継続できるのか、または距離や時間を減らすべきなのか、それとも一旦休んでGPやフィジオを受診すべきなのかという判断を、どのように自分でするのか考えていきたいと思います。もちろんランニングの経験値が高くなれば、おのずと経験を基に正しく判断することができるようになってきます。
一般的に、歩くだけでも痛みがあるような場合は、ランニングは即中断となります。加えて、片足ホップが両サイドとも痛みなく最低30秒連続してできなければすぐにフィジオに相談しましょう。ランニングの最中に違和感や痛みを感じたら止まってストレッチを行いましょう。また、アスファルトや芝、砂浜など異なるコースの表面を走ってみたり、ランニング・コースを変えて走ってみるのもいいでしょう。ランニングの大会中の場合は、走るペースを数分間上げたり下げたりしてみるのも効果的です。
トレーニングの後には、脚全体をアイシングするほか、圧力ストッキングの着用、下半身を心臓より上げて休むことも効果的な対処法です。翌朝、痛みが解消していなければ、ランニングはしないでください。痛みがあっても走っていいのは、リハビリの際の、動き始めの筋肉と関節の強張りが解消するまでの間だけです。上記の対処を行ってもなお症状がある場合は、速やかにGPかフィジオを受診し、早期に治療を開始しましょう。早期に治療を開始することで症状の悪化を予防し、最短・最小のリハビリで効率良くランニングに戻れるようになるでしょう。
セラピスト紹介
奥谷 匡弘(ただひろ)
オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。セント・ヴィンセント病院で勤務後、自身のクリニックでプロ・スポーツ選手や財界の著名人の治療に多く携わる。特に顎関節症や頭痛治療に造詣が深く、セミナー講師も務める。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au/