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「Matisse : Life & Spirit」展/ボランティアガイド便り

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NSW州立美術館 ボランティアガイド便り

「Matisse : Life & Spirit」展
Masterpieces from the Pompidou Centre, Paris

執筆者=森岡薫/日本語ガイド

Henri Matisse / The sorrow of the king (La tristesse du roi) 1952 / gouache on paper, cut and pasted, mounted on canvas, 292 x 386 cm / Centre Pompidou, Paris, MNAM-CCI, purchased by the state, 1954 AM 3279 P. ©Succession H Matisse / Copyright Agency 2021. Photo: ©Centre Pompidou, MNAM-CCI / Philippe Migeat / Dist RMN-GP
Henri Matisse / The sorrow of the king (La tristesse du roi) 1952 / gouache on paper, cut and pasted, mounted on canvas, 292 x 386 cm / Centre Pompidou, Paris, MNAM-CCI, purchased by the state, 1954 AM 3279 P. ©Succession H Matisse / Copyright Agency 2021. Photo: ©Centre Pompidou, MNAM-CCI / Philippe Migeat / Dist RMN-GP

 今夏の主要特別展「マティス:ライフ&スピリット」展は、パリ国立近代美術館ポンピドゥー・センター所蔵名作展です。シドニーでのアンリ・マティスの単独展としてはかつてない規模で、20世紀の革新的な画家の1人、巨匠マティスの60年間にわたる芸術の深淵を見ることができます。

 1869年フランス北部に誕生し、21歳で画家を志してパリに行きモローの下で学びます。その後、印象派の画家たちやゴーギャン、ゴッホ、セザンヌなどの影響を受けながら自らのスタイルを模索。1905年、大胆な色彩表現とデフォルメの作品が野獣(フォーヴ)に例えられ注目を浴びます。そしてマティスは、色彩は自己の感情・感覚の表現手段と考え、純色の効果を高める形の単純化、平面化、装飾性を追求し続けます。

 41年、71才で大病を患い体が不自由になると油絵から切り紙絵に専念していきます。それはグワッシュ(不透明水彩絵具)を塗った紙を切って貼り合わせる技法で、彼が追及してきた色を引き立たせるための形の単純化を可能にします。何より、体力が衰えても一身を捧げてきた芸術を全うでき、彼に第2の人生を与えました。

 左記の作品「The Sorrow of the King」は82歳の時の切り紙絵による大作です。中央の黒いシルエットを自身と重ねて表現し、人生の喜び─ダンス、音楽、女性─に囲まれた若き日を、車椅子生活の老境で振り返る最後の自画像と言われています。享年84歳でした。

 開催は来年3月13日まで。日本語ガイド・ツアーは1月中ごろから予定されています。

開催場所

Art Gallery of NSW

Art Gallery of NSW

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館。常設展入場無料。本連載は美術館の日本語ボランティア・ガイドが担当。「件名:Japanese Tour」でEメールでの日本語での問い合わせ可。
Web: www.artgallery.nsw.gov.au
Email: volunteerg@ag.nsw.gov.au



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