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「SR2019終盤戦、サンウルブズの戦い」/Go! ワラビーズ in Japan

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Go! ワラビーズ in Japan

日本ラグビー界では現在、オーストラリア、ニュージーランドなど世界の強豪チームでの代表経験を持つ選手が多数プレーしており、日本のレベルアップにひと役買っている。そこで、かつて豪州で活躍し、現在は日本に舞台を移した元ワラビーズの選手たちについて日本からリポートする。 文=山田美千子/写真=山田武

SR2019終盤戦、サンウルブズの戦い

スーパー・ラグビー(以下、SR)2019年シーズンも終盤戦を迎えた。シーズン開幕当初とは対照的に、サンウルブズは勢いを失い、強豪を前に苦戦を続けている。来季、そしてラグビー界に明るい未来を示せるか。レベルズ戦、ブランビーズ戦を追った。

勝利への執念の差

SR2019シーズンの終盤戦、豪カンファレンス2位、チーム初のプレー・オフ(以下、PO)進出に向け絶対に負けられないレベルズが5月25日、東京・秩父宮に登場。そのレベルズをホームで迎え撃つサンウルブズは、3月29日のワラタス戦での今季2勝目以降、勝ち星に恵まれていない。シーズン開幕当初の勢いも感じられず、別のチームになってしまった印象さえある。それでもレベルズのSHウィル・ゲニア、SOクウェイド・クーパー両選手のハイ・レベルなプレーを一目見ようするラグビー・ファン、サンウルブズの奮起に期待するファンら1万3,000人超が会場に集まった。

歴戦の猛者、クーパー選手はさすがだった。的確な状況判断、柔らかく軽快なステップなど、メリハリの利いた才能あるプレーを随所で披露。上から目線で恐縮だが「うまくなったな」というのが正直な気持ちだった。

彼のプレーを初めて見たのは、06年に秩父宮で行われた「日本代表対レッズ」の試合。若手中心の来日だったが、クーパー選手のグラウンド外での「いたずら小僧」のような無邪気な表情と、グラウンドでの厳しい表情の違いを今でもはっきりと覚えている。その後、ワラビーズで70キャップを獲得、リーグやセブンズでのプレーも経験し、ボクシングにも挑戦するなど、運動能力の高さを生かして多くの経験をしてきた。それは今の彼のプレーに現れている。そんな彼も気付けば31歳。もう一花、咲かせたいところだ。

レベルズには他にも、ベン・デイリー選手、アダム・コールマン選手、マット・トゥームア選手、リース・ホッジ選手などワラビーズでのプレー経験者が多くいる。W杯で会えるのは誰なのか。こちらも楽しみだ。

試合は、後半にサンウルブズが1トライ・1ゴールを返したものの、7-52とレベルズが完勝。PO進出が懸かっていたとはいえ、レベルズの勝利への執念がこの結果につながったように感じた。サンウルブズには残りの試合でシーズン当初のような輝きのある試合を見せてもらいたい、そう思わざるを得なかった。

試合の随所で光るプレーを見せたクウェイド・クーパー選手
試合の随所で光るプレーを見せたクウェイド・クーパー選手
ウィル・ゲニア選手のプレーにも大きな注目が集まった
ウィル・ゲニア選手のプレーにも大きな注目が集まった

来季、そしてラグビー界の未来に向けて

翌週6月1日には、これまたワラビーズ経験者を多数擁するブランビーズが来日した。

ブランビーズにはFW、BKにまんべんなくワラビーズ経験者が在籍、チームを牽引している。FWには、スコット・シオ選手、アラン・アラアラトア選手、ジェームズ・スリッパー選手、フォラウ・ファインガア選手、サム・カーター選手、ロリー・アーノルド選手、ピート・サミュ選手、BKにもジョー・パウエル選手、マット・ルーカス選手、クリスチャン・リアリイファノ選手、テビタ・クリンドラニ選手、ヘンリー・スペイト選手という超豪華な顔ぶれだ。こちらも誰がW杯のメンバー入りをするのか目が離せない。

そのブランビーズを相手に、先取点を奪い幸先の良いスタートを切ったサンウルブズ。しかし、地力に勝るブランビーズは、サンウルブズ守備陣にじわりじわりとプレッシャーをかけ続けミスを誘う。するとサンウルブズは、規律を乱し、反則を多発して自滅。「後半は試合をコントロールできていたのでモールを使った」とリアリイファノ選手が語ったように、モール攻撃でサンウルブズを撃破した。結果は19-42。

ブランビーズはボーナス・ポイントも獲得しての勝利でPO進出に大きく前進した。一方のサンウルブズは、秩父宮での最終戦を勝利で飾ることはできなかった。この試合の終了時点で、今季の残り試合があと2試合だったことを考えると、せめて来季につながるようなゲームをして欲しいと思った。

サンウルブズは日本を始め、ニュージーランド、ジョージア、トンガ、サモア、アイルランド、フィジー、南アフリカ、韓国、オーストラリアといった多様なバックグラウンドを持つ選手が集い、ここまでやってきた。W杯出場がかなわない国の選手でさえ世界最高峰のリーグを戦うことができたことは、ラグビー界において大きな意味を持つ。来季限りでSRから除外されるため、残された時間は少ないが、最後にもう1つ、ラグビー界に大きな足跡を残してもらいたい。

ブランビーズ戦、サンウルブズは序盤の勢いを持続できなかった
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ブランビーズからは誰がW杯メンバーに入るか
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