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オーストラリアの教育最新事情2019

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オーストラリアの教育最新事情2019

異なる文化・言語を持つ多数の人びとが暮らすオーストラリアでは、幼いころから個性や自主性を尊重する教育が主流で、教育制度の面でも選択肢が多い。子どもの成長に合わせた最適な「学び」を選ぶためにも、事前に選択肢を知っておくことが重要だ。本特集では、ニュー・サウス・ウェールズ(NSW)州とクイーンズランド(QLD)州の最新の教育事情について、バイリンガル教育や実際にオーストラリアで子育てをする親たちの座談会も交えて紹介する。

記事(教育制度)監修=内野尚子(うちのなおこ/Universal Kids)
※当記事の掲載情報は2019年9月時点のもの。

NSW州での子育てと教育制度の概要

教育制度の概要

連邦国家であるオーストラリアでは、教育制度は州ごとに異なっている。NSW州の大学入学までの教育制度は、就学前教育、準備教育(キンダーガーテン。通称キンディー)、初等教育(プライマリー・スクール)、中等教育(ハイ・スクール)に分かれる。就学前教育は日本の幼稚園や保育園に、プライマリー・スクールは日本の小学校に、ハイ・スクールは日本の中学校及び高等学校に相当する。オーストラリアでは日本のように学年が小学校、中学校、高等学校で区切られておらず、初等教育のイヤー(Year)1から中等教育のイヤー12までの12年間を通して「イヤー○」という呼び方をしている。義務教育期間はイヤー1からイヤー10までだ。

学期はタームと呼ばれ、4学期制であり、新学期は1月末頃(カレンダーによる)から始まる。

基本的にプライマリー・スクールの就学年齢は、その年の7月31日までに6歳になる子どもが、同年に始まるイヤー1に入学することになっている。またその1年前に、プライマリー・スクールに併設されたキンディーに、義務ではないが、ほとんどの子どもが通う。

もっとも、オーストラリアでは保護者が入学時期を決めることも可能で、子どもの状態によって、遅らせるとができることも覚えておくと良いだろう。

学校の種類

学校は公立校(パブリック・スクール)と私立校(プライベート・スクール)に大きく分かれる。公立校は基本的には、住所によって通う学校が決まる学区制を採用している。私立校には、男子校、女子校、宗教に基づく学校(カトリック、アングリカンなど)、バイリンガル教育を実施する学校(日本人学校など)、モンテッソーリ・メソッドやシュタイナー教育といった著名な教育方法を取り入れた学校など、さまざまな種類がある。人気の私立校の場合、子どもが生まれた時点で入学のウェイティング・リストに名前を載せることも珍しくない。

入学を決める前に実際にその学校の雰囲気を知りたい場合は、オープン・デーやスクール・ツアーと呼ばれる学校見学説明会に参加することが可能だ。公立校、私立校を問わず、1年間に複数回開催されるので、校風などを知るのに役に立つ。スケジュールは各学校によって異なるため、直接問い合わせて確認しよう。

就学前教育

就学前の教育には大きく分けてデイ・ケア・センター(Day Care Centre)、オケージョナル・ケア・センター(Occasional Care Centre)、プリスクール(Pre-School)の3種類がある。必ずしも日本の保育所や幼稚園などと内容がぴったり重なるわけではないので、英語のまま理解するのが良いだろう。

それぞれの施設では、先生と子どもの割合が決まっている。2歳未満の場合には、子ども4人につきエデュケーター(Educator)と呼ばれる先生または保育士が1人、2歳以上3歳未満は子ども5人につきエデュケーターが1人、3歳以上の場合には子ども10人につきエデュケーターが1人と決められている。

週に2~3日程度通う人が多く、定員20~60人くらいの小規模な所が多い。

●デイ・ケア・センター

対象は新生児から就学前までではあるが、センターによって受け入れ年齢の設定が異なる。預けられる時間帯は午前8時~午後6時が多い。年末年始を除いて、年間48週以上オープンしている。ファミリー・デイ・ケア(Family Day Care)という、家で子どもを預かる施設もある。ファミリー・デイ・ケアは子ども7人まで(未就学児は4人まで)預かることができる。

●オケージョナル・ケア・センター

対象は新生児から就学前までだが、これもセンターによって異なる。最短1時間から預けることが可能で利用料金も1時間単位で決められている。

●プレスクール

対象は3歳から就学前まで。預けられる時間帯は午前9時~午後3時。学校と同じように4学期制で、夏休みなどのスクール・ホリデーがある。時間的に余裕のある保護者の子どもが多い。

住んでいる地域にある施設の空き状況やサービスの種類などは政府が運営するウェブサイト「MyChild」(Web: www.mychild.gov.au)で検索可能。

キンディー(キンダーガーテン)

5歳前後からは、義務ではないが、キンディーに通う。キンディーは、通常プライマリー・スクールに併設されている。キンディーでは楽しい時間を過ごしつつ読み書きや算数の基礎が学べるような工夫が施されている。

また、インファント・スクール(Infant School)と呼ばれる学校もある。インファント・スクールはキンディーからプライマリー・スクールのイヤー2までをカバーし、このスクールが終わるとイヤー3から他のプライマリー・スクールに通うことになる。

プライマリー・スクール

プライマリー・スクールはイヤー1からイヤー6の6年間。プライマリー・スクールで学ぶ主要な教科は、英語(English)、算数(Mathematics)、理科と技術(Science and Technology)、創造芸術(Creative Arts)、社会と環境(Human Society and its Environment、略称:HSIE)、心身発育と保健体育(Personal Development, Health and Physical Education、略称:PDHPE)の6つだ。各教科で学ぶ具体的な内容については、NSW州政府が運営するNESAのウェブサイトで確認できる(Web: https://educationstandards.nsw.edu.au)。

なお、キンディーを含むプライマリー・スクールからハイ・スクール(イヤー1~12)までの一貫校もある。

ハイ・スクール

ハイ・スクールは、日本の中学校・高校に相当するイヤー7~12。イヤー10の修了時には義務教育修了証明書(RoSA)が交付される。

私立校ではもちろんのこと、公立校でも生徒のニーズや関心に合わせた学校があり、例えば、芸術系(Creative and Performing Arts High School)、技術系(Technology High School)、スポーツ系(Sports High School)などが挙げられる。NSW Educationのウェブサイト内(Web: https://education.nsw.gov.au)にある「School Finder」からこうした学校を探すことが可能だ。

またハイ・スクールの選択肢には、セレクティブ・スクールと呼ばれる公立の進学校もある。セレクティブ・スクールに入学するためには選考試験に合格することが必要となる(後述)。

プライマリー・スクールもハイ・スクールも公立校の場合、オーストラリア国籍や永住権の保持者は学費が無料。ビザのカテゴリーにもよるが、テンポラリー・ビザ保持者の場合、公立で年間約5,600~6,400ドルかかる。詳細はNSW DE internationalのウェブサイト(Web: https://www.deinternational.nsw.edu.au/__data/assets/pdf_file/0013/16402/16402-Education-Fees.pdf)から確認できる。一般的に、私立校は公立校よりも学費が高い。

日本人学校と補習校

●日本人学校

日本国外に住む日本人の子どもを対象に、日本国内の小・中学校と同等の教育を行う全日制の学校。日本の文部科学省から義務教育課程と同等の教育を行う在外教育施設として認可されている学校でもある。

NSW州の教育・地域社会省の認可を受けた私立校として「シドニー日本人国際学校」がある。将来日本に帰国する予定がある人や、日本の学校と同レベルの日本語を維持したい場合などに、こうした日本人学校に通うという選択肢がある。シドニー日本人国際学校の特徴として、オーストラリアのカリキュラムで運営される「国際学級(キンディーからイヤー6)」を併設していることも挙げられ、日本人学級と国際学級との交流も行われている。

●日本語補習授業校

週末に開講している補習授業校(略称:補習校)では、日本の教科書やその他の教材を使用して日本語を教えている。日本語環境が少ないオーストラリアで日本語の維持・向上を図り、日本や日本文化の窓口としての重要な役割も果たしている。日本をバックグラウンドに持つ同世代の子どもと一緒に日本の伝統行事や生活習慣を楽しく学ぶ機会にもなる。

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世界の「架け橋」となるバイリンガルを育成
シドニー日本人国際学校でグローバル社会へ羽ばたこう!

世界に数ある日本人学校の中でも長い歴史を持つ同校は、今年5月に開校50周年を迎え、学校名を「シドニー日本人学校」から「シドニー日本人国際学校」に変更した。「日本人学級」と「国際学級」を併設し、日本語と英語が飛び交う国際的な環境の中で、バイリンガル・バイカルチュラル教育を行う同校の魅力に迫る。

歴史の中で築かれた充実の学習環境

シドニー北部、緑豊かなテリー・ヒルズにあるシドニー日本人国際学校(Sydney Japanese International School)は1969年5月に設立、2019年に開校50周年を迎えた歴史あるインターナショナル・スクールだ。日本語と英語が飛び交う国際的な環境の中で、オーストラリアの多国籍文化と日本文化に触れながら学校生活を送ることができる。日本人らしい気遣いや思いやりが身に付くだけでなく、オーストラリアらしいのびのびした多様性を尊重するマインドも自然と身に付けられることから高い評価を受けている。

「日本人学級」と「国際学級」を併設し、「日本人学級」では、小学1年生から中学3年生までが通い、日本語で文部科学省の教育課程を学び、通常の教科としての英語とは別に、ネイティブ教師による英語の授業が1日1時限ある。「国際学級」では、キンディーからイヤー6までの児童が通い、英語でNSW州のカリキュラムを履修し、それに加え、1日1時限の日本語の授業がある。両学級間で転籍が可能という点は、同校ならではの利点で、英語が第一言語ではない児童に対するサポートも行っている。

また、音楽・図工・体育の授業の一部は、国際学級と日本人学級の合同(ミックス・レッスン)で行い、英語と日本語の両言語で指導を行う。これらに加え、20年に施行される文部科学省の新しいカリキュラムに備え、プログラミング(コーディング)の授業をミックス・レッスンで実施。全児童生徒を対象としたタブレットやノート・パソコンの貸与も整備を進めるなど、「バイリンガル力を生かし、地域コミュニティーとグローバル社会に貢献する『世界の架け橋』として活躍する人材育成」という理念の下、グローバル社会へ羽ばたくための充実した学習環境が提供されている。

「真のバイリンガル」を育てるために

幼少期におけるバイリンガル教育では、敏感な聴力と認知能力で、優れた発音とヒアリング能力を伸ばすことができるが、言語学習においては、「継続」が最も重要で、幼少期にバイリンガルであっても、徐々にその能力を失ってしまうケースもある。そのため同校では、授業だけでなく楽しみながら多様な文化体験ができる、運動会、語学劇フェスティバル、スクール・コンサートなどの年間行事を用意しており、入学から卒業まで継続して子どもの語学学習への意欲を生み出す環境を提供するよう心掛けているという。また、茶道室、調理室などのユニークな施設や、英語と日本語の本を3万冊完備した図書館(保護者への貸し出し可)などがあるため、個人の興味に合った学びを思う存分楽しめるだろう。

帰国後のケアについて

日本帰国後の受験や就職の際に有利になるよう、駐在で海外生活をしている内に、子どもに英語を身に付けさせたいと考える海外赴任家庭からは、「現地校に通ったが英語ができずになじめなかった」「帰国子女として受験をする予定だったが思うように英語力が伸びなかった」「日本の学習から遠ざかっていたために、帰国後の勉強内容についていくのが難しく、日本語のレベルも下がってしまった」というような悩みをよく聞くという。

こういった悩みに応えるため、同校の日本人学級では、通常の教科としての英語に加え、ネイティブ講師による英語の授業が1日1時限行われている。レベル別に分かれた少人数クラスで、日本語力を維持し日本の学習を継続しながらも、高い英語力を身に付けることが可能となっている。そのため帰国後に、他の教科の遅れを取り戻すことに時間を取られることなく、オーストラリアで身に付けた英語力や国際感覚を生かした進路も検討できる。語学面だけではなく、日本と同様の教養・礼儀作法や価値観を身に付けられる上に、国際学級と合同の行事や学校生活、職場体験や現地校との交流を通じ、オーストラリアの文化や習慣を学ぶことができるのは、シドニー日本人国際学校の最大の魅力と言える。

また、日本への帰国を予定している家族には、受験のニーズに応じて宿題や補習が個々にアレンジされ、専門家との定期的な受験相談などの導入も行われている。日本の高校への推薦枠も現在、立命館アジア太平洋大学(APU)の高校・大学一貫校「岩田高等学校」と早稲田大学系属校の「早稲田摂陵中学校・高等学校」「筑波大学附属阪戸高校」の3校が用意されており、今後も高校推薦枠の拡充を進めていく予定だという。

帰国後の学校選びを含め、それぞれのお子さんの個性を理解した指導、保護者へのサポートなどが充実している点は、長年バイリンガル教育を提供してきた同校ならではの強みと言えるだろう。

世界の日本人学校でも珍しい日豪両国のカリキュラムを提供し、バイリンガル・バイカルチュラル教育、そして安心の帰国後サポートといった万全な学習環境とサービスを提供するシドニー日本人国際学校を更に知りたいという場合は、毎月開催されるオープン・デーへの参加がお勧めだ。個性とその成長に向き合い、子どもたちが心豊かにたくましく、未来に羽ばたける多彩な学びの場を肌で感じてみてはいかがだろうか。

シドニー日本人国際学校
■住所:112 Booralie Rd., Terrey Hills NSW
■Tel: 02-9450-1833
■Web: www.sjis.nsw.edu.auwww.facebook.com/SJISAU
■オープン・デー予約フォーム: www.sjis.nsw.edu.au/ja/enrolment/open-days


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