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働く女性にインタビュー2019 豪州で活躍する女性たち④

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近年、日本を離れ海外のビジネス・シーンで活躍する女性たちが増えてきている。本特集では、豪州を舞台にグローバルに働く女性9人に、仕事のやりがいや現在に至るまでの歩み、活動に捧げる情熱や今後の展望などについて話を伺った。

  1. 豪州で活躍する女性インタビュー①
    佐藤久美子さん
  2. 豪州で活躍する女性インタビュー②
    石黒アンナさん
  3. 豪州で活躍する女性インタビュー③
    船越瑞恵さん
  4. 豪州で活躍する女性インタビュー④
    鶴美枝さん
  5. 豪州で活躍する女性インタビュー⑤
    八尋里伊奈さん
  6. 豪州で活躍する女性インタビュー⑥
    やのしおりさん
  7. 豪州で活躍する女性インタビュー⑦
    新開マキさん
  8. 豪州で活躍する女性インタビュー⑧
    濱口暢子さん
  9. 豪州で活躍する女性インタビュー⑨
    カズコ・ぺリューさん

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「クライアントの満足」こそが、自分にとっての成功

グローバル・インテリジェンス・マネージメント代表
鶴美枝さん

日本で大手企業勤務を経て来豪し、シドニーの大学で修士号を取得、2010年に不動産会社「グローバル・インテリジェンス・マネージメント」(GIM)を設立した鶴美枝さん。創業以来、日豪両国で不動産セミナーを開催し、オーストラリアのみならず日本居住者へも不動産情報を伝えている。オーストラリアへの移住や同地での日本人としての働き方などについて、話を伺った。

プロフィル
九州国際大学法学部大学院で法学修士号を取得後、大手住宅設備機器メーカーで役員秘書に従事。その後、来豪しウェスタン・シドニー大学で国際商法を学び、法学修士号(Master of Laws/LL.M.)を取得後、弁護士事務所に勤務。2010年、グローバル・インテリジェンス・マネージメントを設立。創業時より日豪両国で不動産セミナーを行うなど、幅広い事業を展開している

――日本で大手企業に勤務された後、オーストラリアの大学に進学されたきっかけは何だったのでしょうか。

キャリア・アップというより、むしろ安定した仕事に就きたかったんです。日本では国内最大手の住宅設備機器メーカーで、国際本部専務秘書の他に国際法務や海外の経理も担当していました。秘書の役割では緊急を要したり、1つのミスも許されない状況もあり、常に神経を張り巡らせていないといけません。そのためデスク・ワークで落ち着いて、自分のペースで法務にまつわることをしたいと考えていました。

そこで、海外の大学に行き日本に戻ってくれば、もう少し堅実で安定した良い仕事に就けるのではないかと考えました。

――そうした中、なぜオーストラリアでのビジネス立ち上げに至ったのですか。

大学卒業後に帰国予定だったのですが、卒業間際の2007~08年ごろに少しずつ永住権獲得への道が見えてきました。せっかく取れるのであれば、永住権を取得してから日本に帰れば良いと思うようになりました。しかし、永住権取得を目指している中、日本とオーストラリアを比較した際に、オーストラリアは「住み心地」や「働く環境」などが日本よりも優れているのではないかと考え始めました。滞在中にオーストラリアの特性や良い面が見えてきて、それこそが日本に住んでいる人たちに薦められるものになるのかもしれないという思いが漠然と浮かび上がってきたのです。

オーストラリアでは現地の弁護士事務所に勤めていましたが、永住権を取得した後、日本政府から法律調査の依頼があり、その事業を行うに当たって独立しました。その時、真っ先に頭の中をよぎったのが「不動産」でした。

不動産を選んだ理由は、祖父が不動産を幾つか故郷に持っていたというのもあります。元々、祖父の跡を継ぐ思いもあって、法律を専門として選んだという背景もあります。日本の不動産オーナーとしての弱みや不安などを知っていたので、オーストラリアにおけるオーナーとしての優位さ、不動産の耐久性や品質の良さ、将来への有利さなどをはっきりと理解できたためです。

――オーストラリアで不動産ビジネスを行う利点は何ですか。

日本は「借地借家法」という法律が非常に強い権限を持っているため、借り手の権利が優先されがちです。日本では消費者を守るという意味合いが強いのですが、オーストラリアではオーナーが自分の資産を守るという観念の方が強いです。例えば借家の場合、年に2回、オーナーには物件の内部を確認する権利があります。「プライバシーはどうなのか」とよく聞かれますが、オーナーが2週間前に書面で通達します。日本ではテナントが入居中の場合、このように内覧することはあり得ないですね。

――鶴さんが事業を行う中で、やりがいを感じるのはどのような時ですか。

ディベロッパーの社長と共に視察中

クライアントが喜んでくれることが何よりの幸せです。「GIMにお願いして本当に良かった」という言葉を頂けると心からうれしくなります。「不動産」というのは、誰にとっても「生きる/住まう“源”」であり、必要な場所なのです。だからこそ、クライアントに満足してもらうことが、私にとって大切で喜びでもあります。「投資で不動産を購入して、資産価値が増えた」「家賃収入が増えて成果が出てきた」と聞くと、自分のことにように良かったとホッとします。「クライアントが満足し成功する」ことこそが、自分にとっての事業のゴールだと考えています。

また、不動産はライフワークでもあります。1年や2年の期間ではなく、その人の将来を含め、10年、20年とその人の「生きる/住まう」に関わり、その家族が育っていく、そうしたところまで含んでいると思います。ライフスタイルなど全てを考えないと、成り立たない大事なビジネスだという思いがあります。

――仕事をする上で、大切にされていることは何ですか。

心地良い仕事の仕方として、人と関わる時にお互いを尊重し合い、意見を対等に評価することだと思います。どちらかがもう一方を押さえ付けることなく、平等に対話することが大事なのではないでしょうか。

丁寧な受け答えで応じてくれた鶴さん

また、女性ならではの観点で仕事ができる点としては、住環境という分野では男性よりも実感が得やすいという優れた特徴があるかもしれないと考えています。例えば、キッチンをどのように使用するか、リビングの日差しはどちらから入る方が良いかなどの“生活感”は、女性が親身になって考えられる分野の1つなのではないでしょうか。そういう意味で、不動産業は女性に向いている職業の1つなのではないかと思っています。

また、専門的な不動産用語などがたくさん見受けられますが、弊社では可能な限り日本語で理解できるように配慮しています。日本人の弁護士や会計士、送金会社などの専門家を紹介し、日本語で質問して頂けるようにしています。物件の購入前に全ての疑問をなくしてから、決心してくださいとお願いしています。こうしたきめ細やかさは、日本人ならではのサービスだと思っています。

――鶴さんが今後、挑戦したいことや展望について教えてください。

オーストラリアの不動産について難しくて、購入できないと諦めかけている人でも希望を持って欲しいです。私自身も1人の投資家なので、少しずつ魅力ある物件を増やして、更にオーストラリアの不動産の良さを伝えていきたいですね。

遠い夢としては、もっと勉強して、できれば博士号まで取得したいですね。どの国で何を学ぶかはまだ分かりませんが、私自身、その将来を楽しみにしているところです。知識を得ることは、未来を開く扉の鍵になると考えています。時代は変化していっているので、自分にとって本当に大切だと思うことを今後も習得していきたいです。

「正しい知識の習得と分析」こそが、未来を拓き豊かにするのではないかと思っています。

グローバル・インテリジェンス・マネージメント(GIM)代表・鶴美枝(つるみえ)
■住所:5503 World Tower, 91 Liverpool St., Sydney NSW
■Tel: (02)8084-0308
■Web: www.gimanagement.net

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