本シリーズでは、オーストラリアのビザの専門家に「永住権」を取る近道となるビザについて紹介していく。今回は、グローバル・タレント・ビザについて、東京を拠点にオーストラリア国外居住者にニーズの高いビザを多く取り扱っている、AOM Visa Consultingの足利弥生氏に話を聞いた。
グローバル・タレント・ビザ(Global Talent Visa / subclass 858)
グローバル・タレント・ビザの目的やメリット、対象者は?
2019年に開始された比較的新しいビザで、オーストラリアにとって重要な産業セクターや経済促進につながる高度人材に、永住権を与えることを目的としたビザとなります。現在、オーストラリア政府が最も積極的に取り組んでいるビザで、特別認定(endorsement)された場合は3カ月程度の審査期間とたいへん迅速で、かつ直接永住権取得が可能である点が大きなメリットです。
グローバル・タレント・ビザの申請条件(年齢や英語力、掛かる費用など)、及び申請に必要な書類は?
ターゲットセクター(産業)
以下の10産業が政府として優先的な業界となりますがこれが全てではありません。
- 資源
- 農業食品やアグリテック
- エネルギー
- 医療・ヘルス業界
- 軍事や宇宙産業
- サーキュラー・エコノミー
- デジタル・テクノロジー
- インフラ事業や観光
- 金融サービスやフィンテック
- 教育
能力(タレント)
・国際的に認知されていることを優れた業績をもって証明すること
・現在も専門分野で著名であること
・その専門分野において、オーストラリアの資産となることを証明すること
・オーストラリアで雇用を得ること、またはその分野で確立することが困難でないこと
・オーストラリア国内の同分野の著名な団体または個人が、グローバル人材として推薦していること
国際的に認知されていること
以下のようなエリアで既に国際的な知名度があり、国の発展や促進に貢献できること。
・専門性
・スポーツ
・芸術
・アカデミックや研究者
上記の他に年齢は18〜54歳、一定高収入基準以上であることが必要ですが、英語力については免除というケースもあります。
グローバル・タレント・ビザの申請手順、永住権取得までに掛かる日数は?
基本的には(1)申請を希望するEOI(意思表示)、(2)移民省への申請、と2段階を経ることになります。(1)が許可され、招待された後に、(2)の申請が可能となります。また、グローバル・タレントビザには以下の2つの種類があります。
(1)Global Talent Pathway
(2)Distinguished Talent Pathway
(1)については現在早い人は3カ月程で取得可能です。(2)の場合は2年程掛かると予測されています。(2)の例としては国際的な著名なスポーツ選手などが該当します。
専門家から見る、オーストラリアのビザ事情の今後の動向をお聞かせください。
ポストコロナを見据えて、オーストラリア政府は急進的に経済を回復を図るために労働市場のバランスを踏まえながら移民政策を進めていくと予測されます。グローバル・タレントビザは高度人材誘致の核として位置付けられていますが、特にターゲット・セクターに関わる方は駐在員も含めて対象となる可能性が少なくないと思います。会計年度に準じてビザ発給数を規定しており、2023年6月末が区切りとなるため、可能性がある方は迅速な対応が得策です。
AOM Visa Consulting
足利弥生
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■営業時間: 月〜金 9AM〜5:30PM(日本時間)