日豪で活躍する輝く女性たち 2023
メルボルンを拠点に心理カウンセリングを行う「M i nd B ody Liv i ngCounseling Service」。さまざまな悩みに対して優しく丁寧にヒアリングし、解決に導いてくれる桜井多恵子さんに、サイコロジストとしてキャリアを形成した経緯やカウンセリングの特徴、サービスの強みなどについて、話を伺った。
サクライ・タエコ
在豪約40年。社会人経験を積んだ後一念発起してシドニー大学及びスインバン工科大学で心理学を学び、卒業後サイコロジストの資格を取得。国際フォーカシング研究所認定トレーナー、オーストラリア政府認定心理士。オーストラリアで2人の息子を育て上げるなど人生経験が豊富なため、安心して何でも相談できる。相談者の「心の声」に優しく耳を傾け、解決に導いてくれる
――メルボルンでサイコロジストとして活動を始めた経緯をお聞かせください。
私は家族の転勤に伴いメルボルンに来ました。1980年代当時の日本はオーストラリア旅行がブームなっており、旅行業界が非常に繁栄していた時期で、私はJTBでガイドやツアー・オペレーターの仕事をしていました。しかし、旅行業界は時間が不規則な上、将来的に不安定な業界なのではないかと思い、将来の安定を考えて何か資格を取って働こうと考えたのです。旅行業界でお客様のお世話をするのがとても楽しかったので人と関わる仕事がしたいと思い、大学に行って心理学の資格を取り、サイコロジストとしてのキャリアをスタートさせました。
――カウンセリングの特徴やサービスの強みを教えてください。
異文化適応に関する悩みについては、私自身が体験していることなので強みと言えます。アイデンティティーの問題や、祖国を離れて生活することで起こる将来の不安、異国の地で子育てをしていくことの悩みなど、幅広く相談にのっています。カップルのリレーションシップ・カウンセリングや、妊活カウンセリングの需要も高まっています。私のカウンセリングの特徴をひと言で表すと「その人の身になって、問題の答えを導き出す手伝い」です。現代社会で生きていると、どうしても頭でっかちになりがちで、頭で考えても答えが出ず困っている人が多くいらっしゃいます。頭で考えると言葉を使った思考になりますが、言葉で表せるものは、私たちが感じていることのほんの1部です。頭で考えても問題解決し
ない時、答えは「心」や「体」にあるのです。私は、クライアントが自身の心と体の様子に注意を払うことで、悩みを解決に導くサポートをさせて頂いています。
――「心の声を聴く」コツや、ストレスと上手に向き合いポジティブなマインドを保つためのアドバイスをお願いします。
「心の声を聴く」ことは、人間に本来備わっている本能的な能力の1つです。自身の心と体に注意を払い、自分が「今、ここ」で何を実感しているのかをきちんと感じていくだけです。自分の意識を「今、ここ」に集中させることができれば、ストレスを感じることはほとんどないでしょう。過去に起こったいやな出来事や、将来起こりうる不安なことを想像すると、ストレスを感じます。シンプルに「今、ここ」にフォーカスすれば、人生楽に生きられるはずです。そうは言っても、毎日の生活にストレスになる出来事はつきものです。そんな時は、それをちょっと「棚上げ」して、深呼吸してみましょう。ストレスのスイッチをオフにする時間を設けることで、ポジティブなマインドを取り戻すことができます。
――「心の声を聴く」コツを学ぶ方法はありますか。
「心の声を聴く」というのは専門用語では「フォーカシング」と言います。私はアメリカに拠点を置く国際フォーカシング研究所の認定トレーナーの資格を持ち、これまで同所の機関を中心に、世界各国の方々にフォーカシング、つまり心の声の聴き方を教えて参りました。今年から日本人向けに日本語で発信しています。オンラインのワークショップを通して、毎月いろいろな方法で、「心の声を聴く」エクササイズを楽しく行っているので、「心の声を聴くためにはどうするのか、ちょっとのぞいてみよう」というくらいの軽い気持ちでどなたでもご参加頂けます。
また、本格的に「心の声を聴く」ことを学びたい方々のためのコースも7月から開講予定です。特に対人援助職、接客業、コーチングやヒーリングなどの悩み相談業の仕事に就いている人を対象に、いわゆる「傾聴」を極めるコースとなっています。それとは別に、「子育てママのための心の声を聴くワークショップ」も不定期で行っています。詳しくは下記ウェブサイトでお知らせしているので、そちらをご参照下さい。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
「心の声を聴く」ことを広めていくのは、私のライフワークだと思っています。人間に本来備わっている大切な能力ですから、もっと多くの人にそれを活用してもらうことによって、毎日の暮らしをもっとシンプルに、楽に生きるサポートをしたいと願っています。オーストラリアで英語を使って生活していると、英語という言語の特性上、自分の主張をしっかりしていかなくてはなりません。自分が何を考えているのか、どうしたいのか。皆さんも自分の「心の声」をしっかり聴くことで、オーストラリアでの暮らしをよりいっそう楽しいものにしていきましょう。
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