それでも女性の平均年収は男性より260万円少ない
航空最大手のカンタス・グループや中央銀行の豪準備銀、スーパー最大手を運営するウールワース・グループなど、オーストラリアの財界では初の女性トップ就任が相次いでいる。ジェンダー平等の目安の1つとなる企業の女性幹部登用は、どの程度進んでいるのか?
オーストラリア連邦政府の「職場ジェンダー平等局」が2022-23年度に合計482万2,194人を雇用する5,135の会社・団体を対象に行った調査結果によると、女性の最高経営責任者(CEO)の割合は22%、管理職の割合は42%だった。4年前の18-19年度と比較すると、女性比率はCEOで5ポイント、管理職で3ポイント上昇している。
また、企業の役員に占める女性割合は18-19年度の27%から22-23年度には34%まで拡大している。
企業幹部の女性登用は進んでいるが、就業者全体の男女の収入格差は依然として大きい。22-23年度の「男女の賃金差」は21.7%だった。つまり、平均で男性が1豪ドル稼ぐごとに女性は78豪セントしか稼げていない。賃金差は9年前の13-14年度の28.6%と比べると大幅に低下したものの、依然として改善の余地が大きそうだ。男女差は年収の金額にすると、平均2万6,393豪ドル(約260万円)になる。女性は男性と比べてパートタイムの割合が多く、フルタイムが少ないことが一因と見られる。
海外と比較するとどうか?ジェンダー平等の国際指標として用いられる経済協力開発機構(OECD)の「大手上場企業の役員に占める女性の割合」(2022年=オーストラリア政府の統計とは調査対象が異なる)を見てみると、オーストラリアは37.2%と主要国中10位(グラフ参照)。OECD平均(29.6%)を7.6ポイント上回っており、企業幹部の女性登用は国際的に進んでいる方だと言える。
一方、日本は15.5%と最下位から8番目。OECD平均の約半分の水準にとどまっている。
■ソース
WGEA Gender Equality Scorecard 2022-23(Workplace Gender Equality Agency, Australian Government)
Female share of seats in boards of the largest publicly listed companies(OECD.Stats)