アメリカの要求に対し、「自殺のおそれあり」と
1月4日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、イギリスの中央刑事裁判所、通称オールド・ベイリーが、アメリカからのジュリアン・アサンジ氏(49)引き渡し要求に対して、「引き渡せばアサンジ氏は自殺するおそれがある」として、要求を却下する判決を下したことを伝えている。
アサンジ氏はクィーンズランド州出身で、判決にはアサンジ氏の母親らもオーストラリアから駆けつけた。
アメリカのドナルド・トランプ政権がイギリスの裁判所に提出していた要求は、アサンジ氏の率いるWikiLeaksがアメリカ政府の極秘公電をインターネットで公開したことについて、アサンジ氏にスパイ罪容疑をかけ、「容疑者引き渡し」を求めていた。WikiLeaksが公開した資料の中には、イラク国内でアメリカのヘリコプターが地上のジャーナリストを機銃掃射し、多数を殺害した事件のビデオも含まれていた。
オーストラリア東部時間の1月4日夕刻、アサンジ氏はオールド・ベイリーの法廷に出廷し、ガラス張りの被告席に座って判決を聞いた。
バネッサ・バレイツァー地裁判事は、「アサンジ氏はアスパージャーと抑鬱症を患っている」との弁護団側の主張を認め、「そのような状態でアメリカに引き渡され、アメリカで拘禁されれば自殺のおそれがある。そのような理由から、アサンジ氏の精神衛生状態を考えて、アメリカに引き渡すことは苛酷であり、ここに同人の釈放を命じる」と述べた。
この判決に対してアメリカ政府が直ちに反論し、「イギリス高裁の判決に対して控訴する。また、それまで同人を勾留するよう求める」と声明を発表した。
ただし、バレイツァー判事は、アサンジ弁護団の挙げた主張をほとんどすべて退け、オーストラリアのアサンジ氏の家系に精神障害があることに基づいて精神衛生問題のみを認めた。
アサンジ氏は2019年9月以来ベルマーシュ刑務所に収監されており、アメリカ政府は同氏に17件の容疑で起訴しようとしており、すべてに有罪の判決が出れば最高175年の懲役が待っている。
■ソース
Julian Assange will not be extradited to the US on espionage charges