人種差別用語取り去り、チアー・チーズで新発売
オーストラリアのチーズ・ブランド、「Coon Cheese」の名称はチーズ改良家の名を取ったものだが、歴史的に「coon」は黒人に対する蔑称として使われてきたため、先住民族アボリジニの活動家らから改称を求められてきており、このほど、メーカー側が折れて、「Cheer Cheese」と改称し、2021年7月までに新しい商品名で発売する考えを明らかにしている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
「Coon」は、「Racoon(アライグマ)」の訛りで元々はアメリカで黒人を意味する蔑称として使われてきたが、オーストラリアでは白人が先住民族アボリジニを指す言葉として使っていた。Saputo Dairy Australia社の販売する「Coon Cheese」は、フィラデルフィアのチーズ製法特許を得たEdward William Coonの名を取ってものであり、アボリジニに対する蔑称とはまったく無関係だとしてきたが、同社は、改称発売について、「改称で受け入れと敬意の価値を強化することになるだろう」と発表している。
Kraft社、Dairy Farmers社が同ブランド・チーズを商品化していた時期から改称要求はあったが、両社は要求を拒絶していた。
長年改称を要求してきた先住民族活動家のスティーブン・ヘイガン博士は、「調査の結果、Coon氏は学歴のない工場労働者であり、特許を得たのはチーズが発売され始めてから10年後のことであることが判明した」として、「Edward William Coon発祥説」を否定してきた。(ただし、Wikipediaによれば、Coon Cheese発売は1935年となっており、ヘイガン博士説は、特許資料と少し食い違いがあるが詳細は不明。)。
Saputo社のキャム・ブルース営業担当取締役は、「Cheer Cheeseはこれまで通り、オーストラリア産牛乳を使い、VIC州で従来の製法で生産していく。消費者調査で新名称が支持されていることが確かめられた。当社は消費者の意向を信頼しており、新しい名称で心機一転して販売していく」と述べている。
■ソース
Coon Cheese changes name to Cheer Cheese, pledging to ‘build a culture of acceptance’