酔漢暴力事件多発で2014年に議論呼んで施行
シドニーのキングス・クロスなどの繁華街の営業時間制限などを定めた「ロックアウト法」が6年を経て、3月7日を最後に廃止されることになった。12か月後に見直しが行われる。
ABC放送(電子版)が伝えた。
2014年、シドニー東の繁華街キングス・クロスや周辺地区で酔漢や薬物影響下の暴力事件が多発し、トーマス・ケリー、ダニエル・クリスティー両君が別個に通りがかりの男に突然殴られ、頭を強く打って死亡するという事件が続いた。それ以前から繁華街で毎晩のように暴力事件が続いており、警察や救急隊、医師や看護師、被害者家族の声で、バリー・オファレルNSW州首相(当時)が緊急に「ロックアウト法」を導入した。
アルコール提供店の営業時間を制限するこの法律の施行でキングス・クロスなどの繁華街はすっかり客足が遠のき、暴力事件は影を潜めたが、多くの雇用を抱えていたホスピタリティ業界や地域経済衰退を憂慮する経済界からは常に批判が出ていた。
シドニー都心部やオクスフォード・ストリートの酒類提供店の規制は緩和されていたが、キングス・クロスでも、パブ、バー、ナイトクラブでの午前1時30分のラストオーダーが、3月8日からは午前3時30分に延ばされる。
また、プラスチック・グラス使用の義務づけなども廃止される。
2019年に、「シドニーの活気溢れるないとタイム経済の再活性化」を約束していたグラディス・ベレジクリアンNSW州首相は、「キングス・クロスが再びナイト・タイムのハブとして復活することを期待する。6年前にこの法律が施行されて以来、キングス・クロスは大きく変わった。キングス・クロスはこじんまりとしたバー、ライブ・ミュージック、レストランなどが共存する活気のあるライフスタイルと文化活動の町として発展する可能性を秘めている」と語っている。
2019年の州議会調査委員会は、ロックダウン法による経済的損失は160億ドルにのぼると報告しており、同法反対派が常にこの経済的損失を取り上げてきたが、スチュアート・エアズ雇用担当相は、「コロナウイルス・パンデミックからの回復を目指す今こそ経済成長を促進する時だ。キングス・クロスの賑わいを取り戻すためには24時間経済戦略を実施しなければならない」と語っている。
■ソース
NSW Government to scrap controversial lockout laws in Kings Cross