Googleのない生活を想像せざるを得ないオーストラリア企業
多くの日本人が住むオーストラリアが、Googleと対立しているというニュースが飛び込んできて、世界に激震が走りました。
Googleは2021年1月に、オーストラリアの「News media bargaining code(ニュースメディア契約法)」法案が修正されずに成立するなら、オーストラリアでのサービス提供を取りやめる可能性を示唆しました。
Googleがオーストラリアから撤退すると、オーストラリアに住む人たちの生活はどうなるのでしょうか?ニュースメディア契約法が成立した場合、引き続きオーストラリアでGoogle検索を利用する方法はあるのでしょうか?
ニュースメディア契約法とは
ニュースメディア契約法は、2020年の7月にオーストラリアで公開された法案で、GoogleやFacebookなどのテクノロジー企業が、ニュースコンテンツを提供するメディア企業にロイヤルティを支払うよう義務付けるという内容が含まれています。オーストラリア政府は、Googleがオーストラリアでの検索エンジンシェアの大半を占めていて、市場を独占している状況だと指摘しています。また、テクノロジー企業がニュースを読みたいユーザーを獲得しているので、報道機関に正当な対価を支払うべきだとも主張しています。
この法案が立案された理由のひとつに、オーストラリアの報道・出版業界が廃れていることがあります。オーストラリア政府によると、2005年以降、報道・出版業界の広告収入が75%も減少したようで、廃業や規模縮小を余儀なくされたメディア企業が増えたのだそう。
「News Showcase(ニュース・ショーケース)」の開始
オーストラリア政府とGoogleがこの法案をめぐって対立している中、Googleは2月4日に「News Showcase(ニュース・ショーケース)」という、高品質のコンテンツを掲載したメディア企業に対価を支払うニュース配信サービスを、オーストラリアでローンチしました。
Googleの新サービスであるニュース・ショーケースは、Googleがメディア企業に収益を還元することを目指したシステムで、ユーザーもコンテンツへの理解をより深められるという点を、ユーザーがこの新しいサービスを利用するメリットとして挙げています。中国ではGoogle検索やFacebookなどが利用できないことで有名ですが、オーストラリアでもGoogle検索が利用できなくなると、人々の生活に支障をきたすことは避けられません。これからも、双方の発言に注目が集まるでしょう。
Google検索サービスの利用を実現する鍵は、「VPN(仮想プライベートネットワーク)」
では、もしニュースメディア契約法が成立して、オーストラリアでGoogle検索サービスが利用できなくなった場合、オーストラリアに住む人たちは他の検索エンジンを利用するしかないのでしょうか?
結論から言いますと、ニュースメディア契約法が成立したとしても、引き続きオーストラリア国内でGoogle検索サービスを利用することは可能です。
オーストラリアでのGoogleサービスの提供を取りやめられた後でも、Google検索サービスの利用を実現する鍵を握るのは「VPN(仮想プライベートネットワーク)」です。VPNとは、2つの拠点間に仮想的にサーバーを構築することによりデータをすべて暗号化する仕組みです。仮にオーストラリアでGoogle検索が利用できなくなっても、VPNの仕組みを利用すれば、お使いのデバイスを他の国のサーバーに接続することができ、VPNを接続した国のGoogle検索を利用することが可能です。