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元NSW州首相ら、ウィットラム旧居買収保存に動く

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ウィットラム息子も競売前に現所有者と交渉

 オーストラリア労働党にとって歴史的指導者だったゴフ・ウィットラム元連邦首相の旧居が市場に出ており、間もなく競売が行われることになっている。バリー・アンズワース元労働党NSW州首相らのチームが、旧居の保存を目指して住宅不動産の買収に動いていることが報道された。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 ゴフとマーガレットのウィットラム夫妻は、1956年から1978年までシドニー都市圏南西部キャブラマタ地区のこの住宅に住んでおり、4人の子供を育てている。また、1972年から労働党政権の連邦首相を務め、連邦死刑制度の廃止や大学無料化などの政策を行い、労働者階級の子弟が大学に行き、社会的に上昇できる道を開いたが、経済政策で行き詰まり、1975年11月11日、エリザベス女王代理を務めるジョン・カー連邦総督に罷免された。女王が選挙で選ばれた首相を罷免するという事態は労働党支持者からはオーストラリアの民主主義の危機とされ、ウィットラム氏は労働党の英雄になった。ウィットラム氏は2014年10月21日死去。

 ウィットラム家の旧居が競売にかかると知って、アンズワース氏や息子のニック・ウィットラム氏ら4人が2月20日に予定されていた競売の前に売主と売買の交渉をし、競売では$720,000から$750,000程度で落札すると予想されていたが、4人はどんな金額ででも買い取り、ウィットラム家の旧居として修復保存することを決めており、提示した額で買い取ることが決まった。

 ニック・ウィットラム氏は50年ぶりに育った旧居を訪れ、「変わってない」と漏らしている。

 アンズワース氏は、「必要とあれば20日の競売にも立ち会うつもりだったが、自分達はそれなりの金額を提示した。売主も競売にかけず、こちらの提示した金額で売買契約する利を受け入れた」と語っている。

 アンズワース氏が旧居の競売を知ったのは新聞の報道からで、「すぐに、この家はオーストラリア全国民のために保存し、国民がこの家を訪れてオーストラリア社会が大きく変化した時代の社会と政治の歴史を知ることができるようにしなければならないと考えた」と語っている。

 何日も経たずに、アンズワース氏は今回の3人とシドニー市内のトレード・ホールで話し合い、買収が決まった。

 買収の話はNSW州労働党の間に広まり、銀行口座に買収資金のカンパが集まり始めた。

 ニック・ウィットラム氏は、「両親は地元の建築家に当時としてはモダンな平屋住宅を設計させた。特に平たい屋根が眼をひいた。今は少し傷んでいるが、内装は昔のままだ。1972年選挙で労働党が勝利するとすぐさま周辺地域から支持者が集まってきて、父は家の前の通りをシーザーのように行進した」と語っている。

 ゴフ・ウィットラム伝記作家のジェニー・ホッキング氏は、「旧居が国民のものとして保存されるのは素晴らしいことだ。その家はオーストラリア史の重要な一コマだ」と語っている。
■ソース
Former NSW Premier Barrie Unsworth leads team trying to buy Sydney home once owned by Gough Whitlam

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