アストラゼネカ・ワクチン、伊仏がさらに輸出禁止予告

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EU域内では分配量の36%しか消化せず

 EUはイタリアなどがオーストラリアに出荷予定だったアストラゼネカ・ワクチンを輸出禁止していたが、イタリアはさらに今後も輸出禁止措置を主張するとしており、フランスも輸出禁止に加わると発表している。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 25万用量のワクチンが輸出停止になっていたが、今後、輸出停止の正当性が争われることが予想される。

 スコット・モリソン連邦政府は、「この輸出禁止措置でも我が国の接種プログラムを影響を受けない」としているが、同時に25万用量の輸出禁止を解除するように働きかけている。

 豪政府のダン・ティーハン貿易相がWTOのヌゴジ・オコンジョイウェアラ新事務総長と協議しており、オコンジョイウェアラ事務総長は、「ワクチンは世界中に公平に分配しなければならない。EU諸国の行為は懸念される」と発言している。

 しかし、欧州委員会(EC)は、イギリス・スエーデン系医薬会社アストラゼネカ社との紛争で一歩も引き下がる気配を見せていない。

 ECでは、アストラゼネカ社がEU圏内に十分な量のコロナウイルス・ワクチンを供給していないとして、禁輸措置正当化の理由に挙げている。

 しかし、ヨーロッパのEuropean Centre for Disease Prevention and Controlが発表したデータによると、EU27か国はアストラゼネカ・ワクチン868万用量の供給を受けているが、これまでの接種実績は315万用量に留まっており、供給量の36%しか消化していない。また、フランスの消化量は24%、イタリアに至っては21%に留まっている。そのため、ドイツのイェンス・スパーン保健相やイギリスのボリス・ジョンソン首相は、EUのアストラゼネカ・ワクチン禁輸を批判している。

 オーストラリアはアストラゼネカ・ワクチン400万用量弱の輸入契約をしており、さらに、国内でもCSL社が5,000万用量生産する計画になっている。
■ソース
Italy and France threaten more vaccine bans following Australia blockade

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