コロナウイルス・ワクチン接種時に言語、出生国調査

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少数派民族移民の情報格差問題是正の基礎に

 連邦政府は、コロナウイルス・ワクチン接種、感染検査の際に母語、出生国を記録すると発表した。

 3月8日付ABC放送(電子版)が伝えた。

 これまでも特定民族出身者の間で誤った情報が流れており、ワクチン接種を避ける人達がいるとの主張があり、それが事実であれば是正措置が必要で、是正措置の基礎としてデータ収集が行われる。

 これまでも接種時にジェンダー、先住民族出身、年齢などを記録することになっている。

 海外の例ではアメリカやイギリスの場合、少数派民族出身者が多数派市民に比べて接種を受ける率が低くなる傾向が明らかになっている。

 連邦保健省のコロナウイルス対策部では、母語、出生国データはGP呼吸器系クリニックでワクチン接種時に収集すると発表しており、「特定民族出身グループが接種を受けようとしなかったり、接種率が低すぎるとか高すぎるとかが明らかになれば地元公衆衛生当局が是正策で対応することができる。そのためにデータを取るようにコミュニティ・リーダーからや上部団体から強い働きかけがあった」と語っている。

 データをまとめた情報から、少数民族出身者の間に公衆衛生問題に対する反応のギャップが見つかれば公衆衛生当局もそれに応じた対策が取れることになる。

 さらに、地域ごとにワクチン接種率が異なることがあれば、特定地域を目標に接種サポートを投入することができるとしている。

 一方に、データが間違って漏れれば民族差別に利用されかねないとの懸念も上がっており、保健省コロナウイルス対策部では、「収集したデータに基づく情報を公開しないのでは個人にもデータを集める末端にも負担に鳴るだけだが、情報を公開すれば一部の人々に心理的な重圧を残しかねない」としている。

 少数民族移民の感染率は高く、また重症になりやすいことが示されている。一つには慢性病を抱えている率が高いこと、それに加えて英語の公衆衛生情報をよく理解できなかったことが挙げられている。また、政府の側も少数民族移民への対応をおろそかにしており、それぞれの民族の言語で伝えようとしなかった。ABC放送は、ピーター・ダットン大臣の内務省がコロナウイルス・パンデミックの際に少数は民族コミュニティとのコミュニケーションのグーグル翻訳を使っていたことを明らかにしている。グーグル翻訳は質の低さで知られている。

 キャンベラのGP、アントニオ・ディ・ディオ医師は、「少数民族コミュニティの間でワクチンに関して実に様々なデマが伝えられてきた」と語っており、政府が少数民族コミュニティとのコミュニケーションを怠っている間にデマがその隙間を満たしていたことを示している。
■ソース
Language, country of birth to be recorded during COVID vaccine and positive tests

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