アンソニー・ファウチ氏、NSW大学で講演
アメリカでドナルド・トランプ大統領の発言に反対してさらに進んだコロナウイルス対策を唱えた、National Institute of Allergy and Infectious Diseases部長で、現在はジョー・バイデン大統領の主席医学顧問を務めるアンソニー・ファウチ氏がシドニーのNSW大学で「第一回デビッド・クーパー講演」の講演者を務めた。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
この講演でファウチ氏は、「コロナウイルスは国境を越えて広がろうとしている。オーストラリアはワクチンと国境閉鎖だけで国民を守ることはできない」と警告している。
オーストラリアの現在の弱点として、アメリカは1日に460万人の接種を行ったが、オーストラリアは予防接種の展開がつまずいていることを挙げている。
ファウチ氏は、「オーストラリアにせよ、他の国にせよ、一国内でコロナウイルスの制圧に成功した国も、世界の圧倒的大多数が接種を済ませ、世界的なコロナウイルス伝播を抑制できるまでウイルスの心配はなくならない」と発言した。
さらに、「世界のどこかでウイルスの増殖が続いている間はいつでも新しい突然変異種が発生して広がってくる可能性がある。世界の大部分がワクチン接種を済ませていても、ウイルスを抑制したものと思っている国はまだ弱点があり、そこに入り込んでくる。ウイルスを抑制したいなら世界中でウイルスを抑制しなければならない」と語っている。
ロナルド・レーガン大統領時代以来歴代大統領の公衆衛生顧問を務めているファウチ博士は、コロナウイルス対策が分裂対立し、政治化したアメリカと比較し、国民が統一して速やかに対応し、国境閉鎖や社会規制を効果的に実施できたオーストラリアを世界でもトップクラスの対応だったと称賛している。
国内的にみれば、連邦と州、州同士の足並みが揃わないこともあったが、連邦の医学専門家パネル「Australian Health Protection Principal Committee (AHPPC)」が方針を出すと全州・準州がそれに従って方針を打ち出してきた。州や準州がAHPPCの方針と違えることもあったがその場合には個別にAHPPCより厳しい対策を出す時だけだった。
ファウチ博士は、「アメリカでは依然として州知事が公共衛生ガイドラインや勧告を無視するような状態にある」と語っている。
■ソース
Anthony Fauci’s words of COVID warning for Australia