「政府は海外で立ち往生の豪国民帰還促進を」

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提訴受けて国連人権理事会が勧告

 4月16日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、国際連合(UN)人権理事会が、「オーストラリア政府は、帰国を希望しながら海外に取り残されているオーストラリア国民を帰国させるように計らう義務がある」と決定したことを伝えている。

 海外に取り残されているオーストラリア国民の帰国を支援するグループ、「Free and Open Australia」の訴えを有名な法廷弁護士、ジェフリー・ロバートソン弁護士が取り上げ、同理事会に提訴していたもので、同グループは、オーストラリア連邦政府の「入国・帰国制限」は、「市民的及び政治的権利に関する国際規約の第12条第4項の『何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない』に違反するものだ」として訴えていた。

 4月15日、UNは2人の男性に通知し、「両人の訴えを理事会が審理する間、オーストラリア政府は両人の帰国を認めるべきだ」との暫定判断を伝えた。

 この判断に対して、オーストラリア政府は8か月以内に回答することとしているが、「帰国は直ちに認めるべき」としている。

 現在、海外滞在オーストラリア国民で即時帰国を希望している者は35,000人ほどにもなるが、国際線航空旅客便が制限されているため、帰国は容易ではない。訴えを起こしている一人、ジェーソン・ジョージさんは、「この判断により、私がアメリカからオーストラリアに帰ろうとして航空券を予約しても、その後にフライトがキャンセルされた場合、オーストラリア政府が自分の人権を拒否したことになる」と語っている。ジョージ氏は、ワクチン接種を済ませており、オーストラリア到着後に14日間のホテル隔離を受けることも拒んでおらず、また、オーストラリア国民の安全を守るための政府の行為にも反対しないと語っている。しかし、「オーストラリアへの入国が絶対に必要な人に対して、安全であり、かつ摩擦のない措置も執れるはず」と語っている。ジョージ氏はニュージャージー州に滞在しており、「他の国では、コロナウイルス検査、マスク、社会的距離規制、手洗い励行などの公衆衛生措置を取ることによって国際線旅客往来を安全に運営することができることが証明されている」と語っている。

 グレッグ・ハント連邦保健相は、「国民全体にコロナウイルス・ワクチン接種が行き渡っても国境閉鎖を続ける必要があるかも知れない」と発言している。
■ソース
UN body tells Australia to ‘facilitate and ensure’ return of stranded citizens

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