「次世代ワクチンはオーストラリア国内で開発を」

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モリソン連邦首相、mRNAワクチン研究支援発言

 スコット・モリソン連邦首相は、現在と将来のパンデミックと闘うため、次世代ワクチンと呼ばれるmRNAタイプのワクチンの国内研究開発を政府が支援する考えを明らかにした。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 コロナウイルス・ワクチン研究開発を短時日のうちに成し遂げたmRNA技術は、多くの人命を救うことになり、また、突然変異にも迅速に対応でき、さらには経費の節約にもなる。しかし、遺伝子レベルの新しい技術とあって一般社会にはまだ不安もある。

 モリソン連邦政府は、今後の10年で地域のmRNAワクチン開発生産地として展開していくこと、また、ファイザーやモデルナの効力の高いコロナウイルス・ワクチンをオーストラリアでライセンス生産できるようにすること、さらに将来的にはガン治療薬やワクチンの研究開発生産までを行えるようにするという構想を考えている。

 現在のところ、mRNAタイプのワクチンを製造できるのはアメリカ、ベルギー、ドイツなどごく少数の国しかなく、しかも、mRNAの性質上複雑な製造工程が関わり、また、超低温での保管が必要になる。

 コンサルタント・グループのマッキンゼー&Co.がビジネス・ケースを調査しており、国内ワクチン製造企業のCSL、ファイザーその他企業とも予備協議が進められている。

 政府筋は、「何年かのうちにオーストラリアで新しいワクチンを開発生産できるようになるのはごく現実的な可能性」と伝えている。

 グレッグ・ハント連邦保健相は、「CSLもmRNAワクチン製造を考えているが一朝一夕に可能になるわけではない。オーストラリア国民に新しいタイプのワクチンを接種するためには、mRNAタイプのワクチンの大量生産を世界に先駆けて実現したファイザー・ワクチンのライセンス生産を実現することが重要だ」と語っている。

 アストラゼネカ・コロナウイルス・ワクチンのようなアデノウイルス・ワクチンやタンパク質ベースのワクチンを国内生産できるのはオーストラリアを含めて20か国ほどしかない。しかも、コロナウイルス・パンデミックまでmRNA型ワクチンが実用化で認可を受けたことはなかった。

 しかし、mRNA型のワクチンの利点が大きくクローズアップされていることから、オーストラリア国内科学界からもこの新しいタイプのワクチン開発能力をオーストラリア国内に築くことを要望する声が高まっている。
■ソース
Support grows in Morrison government for next-gen vaccines being made locally

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