適切な治療法の発見でさらに減少も可
アストラゼネカ・ワクチンとの因果関係が考えられている「血小板減少症を伴う血栓症(TTS)」は、10万人1人程度が発症し、死亡率は25%にもなるとされていたが、発症後に効果的な治療法が見つかり、開発が進んでいる。そのため、死亡率が極端に下がっており、今後も減少が期待されている。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。
50歳以上の国民のアストラゼネカ・ワクチン接種が進んでいるが、国内ではこのワクチンによると考えられているTTSの死者はTTS患者が4人という初期に起きた48歳の女性1人だけで、その後はTTS患者は発生しているが死者は出ていない。
オーストラリアで同ワクチンが認可される前に接種が始まっていたヨーロッパでもその後次第に致死率が下がっており、オーストラリアでも6月3日までのTTS患者は31人、TTSと疑われる患者が10人。そのうち23人はすでに退院し、快復に向かっている。現在も入院中のTTS患者は13人、継続して治療が必要な患者は4人と発表されている。
医療専門家によると、2つの傾向が現れているという。一つはスクリーニング選別が改善されてきたことからTTS症状を早期に発見できるようになっていることから、TTS発生率はこれまで考えられていたよりも高いが逆に致死率はこれまで考えられていたよりも低いことが分かってきており、また、TTS治療法も劇的に改善されてきている。
豪NZ血栓止血学会メンバーで、メルボルン・アルフレッド病院の血栓止血科長を務めるユエン・チャン医師は、「TTSを早期に発見し、診断し、治療することができるようになった」と語っており、VIC州のTTS患者をほとんどすべて治療してきた。チャン医師は、「新しく見つかった病気は初期には致死率も高いが、病気が解明され、治療法も進んでくると致死率はぐんと低くなる」と語っている。
現在、オーストラリアのアストラゼネカ・ワクチンによるTTSの致死率は2.4%から3.2%程度になっており、このままTTS患者が発生しても死者が出なければ致死率は下がり続けると予想される。
■ソース
‘We can treat it’: Mortality rate of rare condition linked to AstraZeneca shot plunges