昨年はパンデミックでカゼ、インフルエンザ患者激減
医療専門家が、「今年は昨年と違って、普通カゼ、インフルエンザが流行しそうだ」と予想している。
普通カゼの原因の一つ、ライノウイルス感染症例が2021年2月から例年平均を上回っているとしている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
免疫の重要さを一般社会に周知徹底することを目的とする独立団体、Immunisation Coalitionメンバーのロバート・ブーイ氏は、「昨年、パンデミックのためにカゼ、インフルエンザ感染者が非常に少なかったことから、一般社会の基礎免疫が著しく減少したと予想できる」と語っている。
NSW州では、2020年3月のパンデミック宣言前にはライノウイルス感染者は多かったが、ロックダウンが続くにつれて感染者が非常に低いレベルまで減った。ロックダウンが停止され、社会規制が緩和された7月には普通カゼ、インフルエンザ患者は増え始めていた。
ブーイ教授は、「鼻水、咳、軽い発熱などは昔からあるカゼ・ウイルスによる症状であり、通常1週間以内に快復する」と述べている。
2020年には、ライノウイルス・カゼのピークで過去4年の平均をかなり上回っていた。また、カゼや胃腸カゼを引き起こすアデノウイルス系のカゼもロックダウンが終わった後にピークを迎えていた。
インフルエンザと異なり、これらの一般のカゼは感染力が強いため、低いレベルではあるが1年中市中に出回っている。冬になると、人々は換気の悪い住宅や事務所の屋内に閉じこもっていることが多くなるため感染が急速に増える。患者1人が5人から8人程度の人にウイルスをうつすと考えることができる。しかし、ウイルスは人々に感染する時には互いに競争しており、そこで免疫が蓄積される。
2005年以来シドニー大学で、ワクチン学、疫学、感染症の分野の仕事をしているブーイ教授は、「昨年、社会ロックダウンで人々が互いに距離を取り、これら普通のウイルスに感染しなかったため、免疫も蓄積できなかった。そのため、この冬には普通カゼのウイルスが例年より低い濃度で一般市中に出回っていながら、人々の免疫が弱いため大流行になる可能性がある」と語っている。
■ソース
Australia could be in for a bad winter of colds and flu because of COVID-19 pandemic, expert says