モリソン豪首相、潜水艦納期守れとフランスに警告

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日独仏入札競争で勝った仏の工期が延び延びに

 コーンウォールでのG7の後、ロンドンでボリス・ジョンソン英首相と会談し、豪英自由貿易協定取決めを発表したスコット・モリソン豪首相は、フランスを訪れ、パリでエマニュエル・マクロン仏大統領と会談した。

 6月16日付ABC放送(電子版)が伝えた。

 フランスでは、モリソン豪首相は、オーストラリア海軍の次期潜水艦隊を建造中の仏企業に向けて、「今後2年間の設計作業計画を2021年9月の締め切りまでに提出しなければならない」と警告した。

 また、マクロン仏大統領も、「政府としても契約を守らせる」と確約した。

 現コリンズ級潜水艦の後継となる潜水艦隊の建造については、日本、ドイツ、フランスが入札競争し、日本の特殊鉄鋼技術が評価されていたが、特許技術共有などの問題が言われていた。

 2016年、フランス国営の海軍艦船建造企業、DCNSが豪政府との「アタック級」潜水艦12隻の建造契約を獲得した。しかし、当初からいくつかの問題が起きており、報道では何度か契約破棄もほのめかされていた。

 マクロン仏大統領との夕食会談でもモリソン豪首相は、オーストラリア側の不満を伝え、特に豪国防省がフランスとの契約を破棄し、他の国と契約することも検討し始めていることを伝えている。

 モリソン首相は、「マクロン大統領とはこれまでも潜水艦建造契約についてオーストラリアの考えを伝えてきたが、まだまだ解決には遠いことを大統領に警告した」と語っている。

 フランスのNaval Group社は、2021年2月に設計作業計画を豪政府に提出したが、豪国防省が、「経費がかかりすぎる」としてこの計画を却下、同社は新しい設計作業計画の提出締め切りを2021年9月まで延期された。

 マクロン大統領は、「アタック級潜水艦隊建造計画は仏豪両国の協力関係と相互信頼の柱になるものだ」と語り、設計作業計画を急がせるよう確約した。

 6月初め、連邦議会上院予算委員会の証人席に座ったグレッグ・モリアーティ国防省事務次官が、「フランスとの潜水艦建造契約が破綻した場合の代替案を用意しているのか」との質問に対して、「計画通りに進まない場合に代わりの案を用意するのが賢明で慎重な態度だと考えている」と回答している。
■ソース
Scott Morrison warns France to meet multi-billion-dollar submarine deal deadline

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