久しぶりに中銀のインフレ目標値上限に届く
コロナウイルス・パンデミックの時期にペトロール価格が急上昇し、また住宅価格も高騰して、若年労働者が住宅市場に入れなくなる状況が続いているため、「住宅買い求めやすさ」の概念が崩壊したと伝えられている。
10月27日付ABC放送(電子版)が伝えた。
すでに燃料価格の上昇が過去何ヶ月かの間に広い範囲の消費者物価押し上げになって響いている。このため、中銀に対しては利率引き上げ圧力が強まっている。
豪統計局(ABS)の公式データによると、2021年第3四半期に消費者物価は0.8%上昇しており、過去1年間には3%上昇している。中銀(RBA)は、2%から3%の圏内を消費者物価上昇率の最適範囲としているが、2015年9月以来2%の下限を下回る状態が続いていた。
この2021年第3四半期には燃料価格が7.1%、新規住宅価格が3.3%上昇している。さらに今週にはペトロール価格全国平均値が13年ぶりの高値になっており、シドニーなど一部の都市部では1リットル2ドル近くにまでせり上がっている。
燃料価格の上昇はエネルギー・コスト上昇に留まらず、エネルギーに依存するビジネスにとってもコスト値上がりを顧客に転嫁しなければならなくなり、燃料の値上がりは物価全般に広がっていく。さらに、連邦政府のホームビルダー助成金制度で住宅建設需要が急増したため、製造コストに占める燃料経費の比率の大きいセメントなどが大きな影響を受け、業者は、「4万ドルの助成金で住宅建築が4万ドル安くならず、逆に高くなるという皮肉な結果になっている」と語っている。
ある業者は、「毎年原料価格の上昇は普通のことだが、今年の上がり方は普通じゃない。あちらで15%、こちらで10%という調子ですべて上積みされていく。2000年9月の消費税導入以来の値上がり幅だ」と語っている。
■ソース
Inflation climbs on fuel and houses, pushing above the bottom of Reserve Bank target range