流通機構の海外からの輸入量も減らず
農家は農作物が不作でも困るが豊作も過ぎると値崩れし、原価割れで出荷しても利益どころか赤字がかさむため、大量に廃棄処分し、値崩れを防ぐことになる。
現在、オーストラリア国内ではアボカドが大豊作の上に、スーパーマーケットなどの流通機構が輸入量を削減しないため、国内で作物がだぶついており、WA州の農家では、箱詰め、出荷してもコストの方が高くなるため、大量に農地に廃棄処分している。
11月7日付ABC放送(電子版)が伝えた。
現在、アボカドの価格は1箱$18程度まで値下がりしており、その上に、ロックダウンのため、シドニー、メルボルンなど、WA州の農家にとっては最大の国内市場で売れ行きが伸び悩んでいる。
パースの南300kmのマンジマップのアボカド農家の場合、ごく些細な外見の欠陥のために低級品と格付けされた収穫を大量に廃棄処分しなければならなかった。農家では、「通常の年なら外食産業に売ることができるのだが、今年は昨年に比べても200%以上の豊作になっており、農地に穴を開けて売れない果実を大量に処分しなければならなかった。栽培にかけた時間、労力、経費、肥料、潅水がすべて無駄になった」と語っている。
しかも、大手小売りチェーンは何万箱ものアボカドをニュージーランドから輸入し続けており、農家では、「国内の店頭に並ぶアボカドの20%は輸入品だ。その分だけ国内農家からの買い付け量が減っている。農業団体は国内産で十分にまかなえるとスーパーマーケットには言っているのだが、スーパーマーケット側は完全に無視を続けている。国内スーパーマーケットが国内生産者を支援していると思いたいだろうが事実は大きく違っている」と語っている。
さらに、「おそらく、ニュージーランドは長年にわたってオーストラリアのスーパーマーケットに供給してきており、たまたま今年は豊作だからといってスーパーマーケット側もすぐに輸入を止めることはできないんだろうと思う。しかし、国内生産量が大きくなるのに合わせて輸入量を減らしていくこともできるはずだ。国内生産者も毎週ごとの需要を満たすことができるのだから究極的には輸入量を減らす方向に進むはずだ」と語っている。
また、アボカド輸出産業についても、安定して海外への輸出を続けられる体制をつくるためには時間をかけなければならない。しかも、海外市場はすでにチリやペルーのように低コストの競争相手と取引してきた実績がある。しかも今年は輸送コストが非常に高くなっていることも障害になっている」と語っている。
■ソース
Avocados dumped amid glut in domestic supply and imports from overseas