全国1回接種率90%突破、先住民族依然低接種率
11月11日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)は、全国で16歳以上のコロナウイルス・ワクチン最低1回接種率が90%を突破したという連邦政府の発表を伝えている。しかし、先住民族のアボリジニ、トーレス海峡諸島人のワクチン接種率が依然として低い数字に留まっているとして警告をならしている。
NSW州では261人が新たに陽性と判定され、1人が亡くなっている。
国全体の16歳以上の完全接種率が80%を超え、連邦の国境閉鎖解除などが予定されているが、11月10日には国内開業医GP団体のRoyal Australian College of General Practitioners (RACGP)が、「先住民族のコロナウイルス・ワクチン接種率は危険なほど低率で、1回の接種率が66.2%、2回の完全接種率は54.5%にしかならない。オーストラリア全体が国境閉鎖を解除した段階で海外旅行者が持ち込むウイルスが先住民族コミュニティを介して大きく広がる危険性があり、また、先住民族には基礎疾患を持つ人も多いため、感染者が重症、死亡に至る危険も高い」ことを警告している。
11月10日午後8時までの24時間にNSW州では261人が国内感染のコロナウイルス陽性と判定され、シドニー都市圏南西部在住の60代の女性1人が基礎疾患を持ち、しかも未接種のまま亡くなったと伝えられている。陽性者数は前日が216人だったため、大きく増えている。また、シドニー保健管区の感染者が多いが、現在のアウトブレークではハンター・ニュー・イングランド地域で60人が陽性と判定されている。
現在、州内の病院には228人のコロナウイルス陽性者が入院しており、そのうち40人がICUに収容されている。またそのうち16人が酸素吸入装置を着けている。マリアンヌ・ゲール副主席医務官は、「ICUの40人のうち27人は未接種、7人は1回だけの不完全な接種」と発表している。残る6人の接種状況や基礎疾患などは伝えられていない。
NSW州では11月9日の時点で16歳以上の人口の90.4%が完全接種済みで、1回だけの接種者も含めると94%に達している。また、通常の2回の接種に対して免疫不全患者は3回の接種を受けることが勧告されており、さらに、ワクチン接種優先順位の高い職種などでは2回目または3回目の接種を受けてから6か月が過ぎ始めており、順番にブースター接種を受ける順番が回っている。
12歳から15歳の若年者層は16歳以上とは別統計に組み込まれており、現在では完全接種が71.1%、1回だけの接種も含めると80.3%に達している。
■ソース
As it happened: Victoria records 1313 new COVID-19 cases, four lives lost; NSW records 261 new local cases, one death; heavy rain lashes parts of the country