3年間の減少にもかかわらず、原因依然不明
11月25日付ABC放送(電子版)は、過去3年間死産率が減少していたにもかかわらず、コロナウイルス・ロックダウン中のメルボルンで死産率が上昇していたことが明らかになったと伝えている。
全体の死産率は400人に1人程度だが、ロックダウン中のメルボルンでは300人に1人にもなっていた。この数字は23人の死産に等しい。
母子医療専門家は、コロナウイルス・パンデミックが死産に影響したのかどうかを考えている。
メルボルン大学のドクター・リサ・フエイ、マーシー婦人病院、ノーザン病院が共同でメルボルン都市圏のすべての公立病院の出産と死産のデータを集め、何らかの傾向が導き出すのに充分なデータ規模を目指した。
ドクター・フエイは、「死産がパンデミック前の率に留まっていれば、ロックダウン中の死産数は62人だったはずだが、データから85人、23人も増えていたことが明らかになった」と述べている。
この研究の報告書はすでに作成済みだがまだ査読が終わっていない。この研究では、先天性異常の見られない子供を妊娠していた女性で、2020年3月より2021年までの間に、24週間以上の妊娠後に出産した場合に絞って比較した。
この出産のデータをそれ以前の2年の間の同期間の全妊娠出産と比較した。その結果、死産増加の原因は判明していないが、同時期に早産の数が減っていたことも明らかになっている。
ドクター・フエイは、「ここで念頭に入れておかなければならないのは、ロックダウンで妊娠女性が直接医師の診断を受けることが減ったことや病院がコロナウイルスのホットスポットと見なされていたため、妊娠女性が病院に来るのをためらった結果、死産の危険のある妊娠を早期に発見できなかったことが考えられるということだ。まだ、ロックダウン中の何が原因で死産率が上がったのか結論を出すには早すぎるし、妊娠女性に余計な心配をさせたり、罪悪感を持たせることは望ましくない」と語っている。
ドクター・フエイは、この研究結果をInternational Stillbirth Allianceに提出しており、「この研究は、リング・オブ・スティールと呼ばれたメルボルン都市圏を周辺と隔離するロックダウン中の公立病院のみを対象にした。これはメルボルン都市圏の出産数の75%程度であり、オーストラリア全体の状況を反映した物ではない、ということも頭に入れておかなければならない」と述べている。
■ソース
Stillbirth rates rose in Melbourne’s COVID-19 lockdown, despite dropping overall in past three years