選手参加は認めるが、オフィシャルは一切不参加
12月8日付ABC放送(電子版)は、オーストラリア政府もアメリカ政府にならって中国の北京冬季オリンピックを外交ボイコットし、政治家、省庁官僚を一切派遣しないと発表したことを伝えている。
ジョー・バイデン米大統領は以前から外交ボイコットの考えを明らかにしており、先日、外交ボイコット決定を発表していた。
外交ボイコットの理由は中国政府のウィグル少数民族に対する人権侵害に対する抗議としている。
アメリカ政府に続いてオーストラリア政府もボイコットを決めたことについて、スコット・モリソン連邦首相は、「この決定はそれほど驚くことでもないだろう」と語っているが、豪中関係は最近悪化を続けており、特に2020年3月のパンデミックの始まり以来とみに悪化しており、オーストラリアの主要輸出品数種が中国政府によって輸入停止処分を受けている他、両国の政府高官の間で非難の応酬なども起きている。
ただし、アメリカもオーストラリアも政治家、官僚を大会に派遣しないだけであり、選手が大会に参加し、競技に出場することは構わないとしている。
モリソン連邦首相は、「これまでの豪中関係の悪化を考えれば驚くことではないが、私はオーストラリアの国益を考えており、すべて正しいことだったと考えている。中国政府側がオーストラリアとの外交関係を凍結したことも今回の外交ボイコット決定の材料になっている。オーストラリア政府はこれらの問題について中国政府と喜んで話し合うつもりだったが、中国政府はそのような機会を利用することを拒んできた。そのようないきさつがあるため、オーストラリア政府が高官を派遣しないことに決めたのも当然のなりゆきだ」と語っている。
オーストラリア・オリンピック委員会(AOC)は、40人前後の選手を大会に送り出す予定だが、連邦政府の決定を支持しており、マット・キャロルCEOは、「選手達は4年間、この大会のために訓練を続けてきた。彼らを送り出し、無事に帰らせることが最優先課題だ。人権も非常に重大な問題だが、外交を考えれば、コミュニケーションのチャンネルをしっかりと開いておくことが重要だ」と語っている。
このオーストラリア政府の決定は豪中関係をさらに悪化させることは避けられない。
人権団体は、外交ボイコットを歓迎しているが、新疆で人権侵害に直接関わっている中国政府高官に標的を絞ってオーストラリア政府がもっと行動することを望むと発表している。
■ソース
Australia joins diplomatic boycott of Beijing Winter Olympics