政府のマスク着用義務解除とオミクロン・アウトブレークに
NSW州ではコロナウイルス社会規制が大幅に緩和されるとパブやナイトクラブ、ハーバー・クルーズなどの大群衆を介して新型のオミクロン株が爆発的に広がっている。これに対して州政府は「規制緩和は計画通り続ける。マスク着用も一部の条件を除いて着用義務を解除する」と発表しているが、ケリー・チャント主席医務官が、「従来通りマスク着用を続けてもらいたい」と州民に呼びかけた。州政府と主席医務官はこれまで2年近く意見の違いを隠してきたが、ここに来て、突然公衆衛生側と政治側との亀裂が垣間見られた。
12月15日付ABC放送(電子版)が伝えた。
この意見の違いを質問されたドミニク・ペロテイ州首相は、「私のチームはチャント主席医務官のアドバイスも検討したが、パンデミック対策はバランスの問題だ」と答えている。
12月14日午後8時までの24時間に新たに1,360人が陽性と判定され、1人が死亡している。現在、コロナウイルス患者166人が入院しており、24人がICUに収容されている。
チャント主席医務官は、「マスク着用義務を決めるのは政府であり、私は公衆衛生の見地から言うだけだが、今後もマスク着用を励行してもらいたい。マスク着用はごく些細な行為だが、自分だけでなく他の人達をもコロナウイルスから守ることになる」と語っている。
これに対して、州政府は、「着用するしないは各個人が決めること。これからクリスマス・シーズンに向かってショッピング・センターも混雑するようになる。各自が自分の責任で行動してもらいたい」と語っている。
NSW大学の疫学者、メアリー=ルイーズ・マクロウズ教授は、「コロナウイルス蔓延第三波が広がっている現在、マスク着用義務化が必要だ。オミクロン株の性質をよく把握するまではマスク着用義務解除は正しい方針ではない。症状が出る前いつ頃から感染力を持つようになるのか誰にも分かっていないのだから解除は安全な決定ではない」と語っている。
しかし、ペロテイ州首相は、「これからは感染者数ではなく、病院入院、ICU収容患者数を問題にすべきだ」と繰り返してきている。
■ソース
Kerry Chant urges people to keep masks on in NSW as mandate scrapped and COVID-19 infections surge