オミクロン株蔓延で旅行業界はキャンセル続出
12月26日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)の報道によると、コロナウイルス・オミクロン株の蔓延でNSW州でも年末年始の旅行の取消が続出しており、観光シーズンをあてにしていた州内郡部の町は苦境に立たされている。
州経済振興を目標にクリスマス・シーズンに向けてコロナウイルス・ロックダウンを停止し、社会規制を緩和してきたドミニク・ペロテーNSW州政権にとっては、規制緩和がコロナウイルスの爆発的な蔓延になったことは大きな誤算で、一旦廃止したマスク着用義務やQRコード・チェックイン制度、ホスピタリティ施設屋内の1人あたりの面積確保なども最初は渋っていたが結局世論に押されて復活せざるを得なかった。
12月26日、ペロテー州首相は、市民に向けて、ブッシュファイアや洪水などの自然災害をこうむってきた郡部への旅行計画を取り消さず、是非とも出かけるよう呼びかけた。
一方、ジェットスター社は、航空乗務員らがコロナウイルスに感染したり、濃厚接触で隔離に入るなどしてフライトの乗務員のやりくりがつかなくなったとして、12月26日のボクシング・デーのシドニー空港発着国内路線フライト6便をキャンセルした。予約していた乗客は他の便に振り替えられている。
ペロテー州首相は、コロナウイルス陽性者が毎日6,000人を超える状況で公衆衛生への信頼感を失っていることを認めたが、「州郡部への旅行を取りやめなければならないという理由はない。どんどん旅に出かけ、NSW州の素晴らしい土地を訪ねようではないか。現在の苦境は必ず切り抜けることができる」と呼びかけている。
しかし、宿泊施設や旅行代理業界は、何千人もの隔離者を出す爆発的な感染者増で州全域にわたって旅行キャンセルが出ている。大シドニー地域で70%ないし80%ほどだった宿泊施設予約率が今になって40%に急減している。人々は旅行中に州境が閉鎖されたり、旅行先で身動きが取れなくなることをおそれている、と語っている。
さらに、「予約取り消し続出は観光業界、旅行業者にも影響が波及し、ただでさえ財政困難になっており、従業員不足に悩まされているところに大きな打撃になっている」と語っている。
■ソース
‘Let’s get out’: Premier urges people to holiday as COVID cancellations bite