児童保護運動家は「人気取り政策」と疑問視
1月8日にはイスラム国テロリスト、ニール・プラカッシュの豪国籍剥奪に失敗したピーター・ダットン内務相が9日には新しい政策案を発表した。
ダットン内務相の新政策案は、「豪史上最強の児童性犯罪対策」とうたわれており、児童を被害者とする性犯罪者を、氏名と写真を添えて公開登録するというもの。
ABC放送(電子版)が伝えた。
ダットン内務相は、「児童を対象とする犯罪と戦うことが私の最重要課題だ。私は常に児童保護のために戦ってきたし、この戦いに勝たなければならない」と述べている。
情報は州、準州が全国データベースに入力することになり、児童性犯罪者の氏名、誕生日、写真、犯罪の内容、郵便番号など主な定住所などの項目が記入される。
ダットン大臣は、「性犯罪者に対しては強力な抑止効果があり、子供の親は児童性犯罪前科者がどこに住んでいるかを確認できる」と述べている。
長年、児童性愛犯罪者の氏名を登録する運動を続けてきており、違法にメディアで公開して罪に問われたこともあるデリン・ヒンチ無所属連邦上院議員は「死ぬほどうれしい」とダットン案支持を表明している。また、立法には、2003年にWA州の児童性愛犯罪者、ブレット・コーワンに誘拐殺害されたダニエル・モーカム君(13)の名前を付けるべきだと提案している。
一方、労働党は、「このような制度は効果をエビデンス・ベースで考えるべきだ。何年か前にこのような制度が提案された時にはトニー・アボット首相(当時)が廃案にした。この数年で事情が変わったのだろうか?」と慎重な態度を取っている。
また、児童性犯罪者に対して厳しい処罰を求めてきた児童保護運動「Bravehearts」のヘティ・ジョンソン氏は、「実効性のない制度だ。州や準州がそのような提案に乗ってくるとは考えられない。政治家が人気取りの大言壮語を吐くだけで何の効果もないだろう」と厳しく批判している。
2018年、豪犯罪学研究所はダットン内務相に各国の制度を調べた報告書を提出しており、その中で今回ダットン大臣が提案している制度についてはその効果はあるともないともまちまちだと述べており、初犯者に対してはわずかに抑止効果があるかも知れないが再犯者の犯行を防ぐ効果は全くないとダットン大臣に伝えていた。
アメリカで実施された同様の制度がまったく効果を示していないという指摘する意見も出ている。
■ソース
Peter Dutton proposes public register of child sex offenders