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モリソン首相「カヴァをバヌアツからどんどん輸入したい」

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先住民族問題相「いえ、それはなりませぬ」

 南太平洋諸島でたしなまれている「カヴァ」という植物は向精神作用があり、常用すると重大な中毒症状を来す。オーストラリア北部の先住民族の間で密輸業者の持ち込むカヴァのために中毒者も出ており、ナイジェル・スカリオン先住民族問題相や保健相、北部準州政治家の間ではカヴァを全面的に禁止すべきという意見が強い。

 しかし、南太平洋島嶼国を訪問しているスコット・モリソン連邦首相が、「カヴァはバヌアツの貴重な輸出資源、オーストラリアにもどんどん輸入したい」と発言したため、政府部内に困惑が広がっている。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 現在、カヴァの商業輸入は禁止されており、中毒を引き起こさない程度のごく少量個人使用に限り持ち込みが認められている。しかし、2015年、スカリオン大臣は先住民族の間でカヴァの害が現れていることから、カヴァの全面禁止を訴えるキャンペーンを行い、「他の国で文化としてカヴァをたしなむ風習があればそれは尊重する。しかし、我が国の先住民族に害をもたらすなら尊重できない」と発言している。

 北部準州(NT)警察によれば、カヴァをオーストラリアに密輸しようとして検挙されるのはほとんどが太平洋諸島人であり、しかもカヴァの乱用があるのはアーネムランドだけ」としている。また、アーネムランド先住民族コミュニティのリーダーも全員がカヴァの害を訴えており、抜け殻のような人格になったり、突然死するケースもあるとしている。

 モリソン首相は、「カヴァの輸入で先住民族コミュニティに問題が起きることは望まないが、この問題は対処できると考えている。バヌアツにとってはカヴァは貴重な輸出資源であり、オーストラリアとしても検討したい。この問題についてはプラクティカルに考えるべきではないかと思う」と語っている。

 現在、太平洋島嶼国からは個人使用に限り、最高2kgまで持ち込むことが許されており、モリソン首相は、「これは大した量ではなく、シドニー都市圏西部の家族の集まりならほとんど全員に行き渡らない量だ」と発言している。

 しかし、エヴァ・ロウラー保健相代理も、「NTのアーネムランドでカヴァの制限を維持することは重要だ。カヴァは健康にも社会にも害を及ぼす可能性がある」とモリソン発言を否定する見解を明らかにしている。

 カヴァはポリネシアのコショウ科の植物で、根をすりつぶして粉末にした後、水で溶いて飲むことが行われており、リラックス作用や麻酔作用があるが、肝臓障害などをもたらす。
■ソース
Prime Minister Scott Morrison at odds with Indigenous Affairs Minister over kava imports

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