ロンドン・アパート大火災同様の可燃性外壁材か
2月4日、メルボルン市内の高層アパートメント・ビルから出火した。駆けつけた消防署員が火災を消し止めたが、窓の外に噴き出た火が外壁材に添って上階に燃え上がっており、ロンドンで大勢の焼死者を出したグレンフェル・タワー・アパートメント・ビル同様に可燃性の外壁材が用いられているのではないかとの疑惑が上がっている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
同日午前6時前、メルボルンのサザンクロス駅に近いスペンサー・ストリート200番地にある高層アパートメント・ビルの22階のバルコニーから出火、炎は外壁を伝って27階まで駆け昇った。
緊急通報で消防車15台、はしご車2台、消防署員60人が出動し、午前6時49分に鎮火した。
都市圏消防局(MFB)のダン・スティーブンズ局長は、「この建物の外壁には、2017年に72人の死者を出したロンドンのグレンフェル・タワーと同様の可燃性外壁材が用いられていたと見られる。この外壁材はアルミニュームと可燃性の素材を貼り合わせたACMと思われ、グレンフェル・タワーのと同じタイプの外壁材だ」と語っている。
さらに、「現時点で憶測することはしないが、火が建物の外を燃え広がったと証拠だけははっきりしている。また、スプリンクラーが作動しており、炎が内部にも入り込んだことを示している」と語った。そのスプリンクラーは4階にわたって作動しており、建物内部がどれほど破損しているかについてはまだ現場検証が済むまで明らかではない。
この火事で住人150人が避難した後、メルボルン市の指示で、住民には所持品や常備薬などを取りに戻るため、短時間の帰宅が許されたが、安全設備を修復し、動作が確認されるまで48時間の帰宅は禁じられている。また、メルボルン市はタウン・ホールに救援センターを設け、200人の住民の支援を行っている。
消防局では、「一部の住民が避難命令に応じなかったことを懸念している。また、調理時に火災報知器が作動することを嫌って報知器をプラスチックで包んでしまっているケースも見つかった。このような行為は自分達だけでなく建物の住民全体を生命の危険に陥れる行為だ」として、懸念を明らかにしている。
さらに、MFBでは、「問題の外壁材に関して建築法に準拠しているかどうかのメルボルン市の検査があるだろうが、MFBでは25階を越える高さのビルでは一切の外壁材を禁止すべきだと考えている」と発表している。
ただし、メルボルン市では、外壁材の可燃性の問題について、2018年7月と10月の2度にわたって今回の火災のビル所有者に「原因説明要求通告」を送っており、火災報知器の増設などの改善がなされたが、可燃性外壁材の撤去はなかった。
また、メルボルン市の監査によると、高層建物の51%で外壁材が建築法に違反していたとの報告もある。
■ソース
Melbourne apartment tower fire fuelled by combustible cladding on Spencer St high-rise