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研修外科医週70時間働かされ、遂に過労入院

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上司も訴えを無視し続け、ようやく州大臣の指示

 シドニー都市圏南西部、バンクスタウン病院で若い外科研修医、ユミコ・カドタ医師は週に70時間働かされた上に週7日ぶっ通しで電話呼び出し待機も務めさせられた。バンクスタウン=リッドコム病院の上司に繰り返し善処を訴えたがそれも無視され、2018年に睡眠不足のため6週間にわたって入院する結果になった。

 結局、NSW州政府の保健大臣の知るところとなり、「病院の事務方は医師や看護師の訴えを心に留めるべきだ」と善処を指示した。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 同医師は同病院で心身のぎりぎりまで働かされ、「再建外科医になる夢もあきらめた」と語っているが、病院側は、「感情的な女」で片付けていた。

 しかし、彼女はソーシャル・メディアに、「死ぬほど働いたあげくに死んでしまっても、病院は1週間もしないうちに誰か代わりを見つけるだけでしょう」と書き込んでいる。

 同医師のケースがブラッド・ハザード保健相にまで伝えられ、2月5日にはハザード大臣がバンクスタウン病院の管理者を呼び、叱責したことが伝えられているが、彼女の訴えにより、ようやく州の病院で若手医師が限界まで酷使され、その結果、患者の福利にも危険を及ぼす結果になりかねないという問題が明るみに引き出された。カドタ医師(31)はマラソン、トライアスロンの選手でもあり、極端な疲労や痛みには慣れているが、病院での酷使は心身を痛めつけた。

 同医師は2018年2月にバンクスタウン病院の形成再建外科でunaccredited研修医として、accredited研修医に従って勤め始めた。しかし、毎週長時間の連続勤務や待機を命じられており、ある時には午前3時に緊急を要しないアポイントメントについて救急医に起こされるなどのことが起きており、苦情を訴えると、「感情的な女になるな」と言われたと証言している。また、公立病院の上司医師が他の研修医を自分の務める私立病院での外科施術を手伝わせるところも見てきた。また、「疲れて仕事にならない」と訴えると、「自分のためにいいことだ」と言われている。

 ハザード大臣の指示の後、バンクスタウン=リッドコム病院のピーター・ロファイル事務長が、「若い医師の労働過重を認め、現在はカドタ医師が行っていた仕事を研修医2人で分担している」と声明を出している。

 また、州野党労働党のウォルト・セコード影の保健相は、「労働党が政権に就けば、医療労働者の福利を優先事項にする」と語っている。
■ソース
Exhausted surgeon dismissed as an ‘emotional female’

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