タイ裁判所がバーレーンへの引渡しを却下
2018年11月、ハネムーンでオーストラリアからタイに渡航した元バーレーン人のフットボール選手、ハキーム・アルアライビ氏は、バンコックの空港で逮捕され、そのまま勾留されていたが、2月11日、タイの法廷が同氏の釈放を決めた。同氏はバンコック空港に移され、オーストラリア行きのフライトに乗せられた。
ABC放送(電子版)が伝えた。
アルアライビ氏はバーレーンでもフットボールの選手だったが、「アラブの春」で政府批判の発言を強めていた。そのため、政府から迫害を受ける恐れがあるとして難民認定を申請、オーストラリア政府から認定を受け、オーストラリアに移住、オーストラリアでもフットボール選手を務めていた。
しかし、「アラブの春」当時に警察署破壊に加わったとしてバーレーン政府がインターポルに「赤手配」を出していた。同氏がオーストラリアからタイに渡航した際に、インターポルの赤手配を知った連邦警察(AFP)がタイ当局に同氏のタイ渡航を通告、それを受けてタイ当局が空港で同氏を逮捕した。
その後、バーレーン当局は赤手配を取り下げたが、それ以前にバーレーンの裁判所が欠席裁判で同氏に懲役10年の刑を言い渡していた。タイ当局に対して同氏の引き渡しを請求、タイ当局がそのままアルアライビ氏の勾留を続けていた。
アルアライビ氏はバーレーンからの難民として国連からも認められており、バーレーン政府からの引き渡し請求を認めることは難民条約に違反するが、タイは難民条約を批准しておらず、また、バーレーンがフットボールの国際団体FIFAに対しても影響力のある国とされているなど、様々な憶測が流れていた。
アルアライビ氏の身柄については人権団体だけでなく、オーストラリアのフットボール関係者や、タイの少年フットボール・チームとコーチ13人の救出を主導したオーストラリア人2人なども釈放とオーストラリアへの帰還を求める呼びかけを起こしていた。
2月11日午後9時(大陸東部時間帯)、スコット・モリソン連邦首相が、「アルアライビ氏がオーストラリア行きのフライトに乗るため、バンコック空港に向かっている。今回の事件に関しては微妙な問題も多かったが、我が国はタイ政府と友好関係があり、タイのプラユト首相とも親しく、無事に解決すると考えていた」と発表した。
また、マリス・ペイン外相も、「まだ手続きが残っているが、すべてが円滑に進めば明日には家族と再会できる」と発表した。
■ソース
Hakeem al-Araibi returning to Australia after Thai court rules extradition case be dropped