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修正案盛り込んだ難民医療移送法が上院を通過

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「新法は国境警備を弱体化」とモリソン連邦首相

 2月13日、12日に連邦下院を75票対74票という僅差で通過した修正案付き難民医療移送法が連邦上院を通過した。

 これにより、連邦総督の裁可を経て同法が施行される。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 スコット・モリソン連邦首相ら政府与党は、「この立法で強姦犯や凶悪犯罪者がオーストラリア国内に移送されるようになり、また再び人間密輸業者が難民船を仕立て、死者が出るようになる」としている。

 修正案は、PNGマヌス島やナウルの難民認定希望者が病気になったり、負傷した場合に医療専門家のパネルがオーストラリアの医療機関への移送を決定するというもので、最終的な決定権を連邦大臣に持たせるとする保守連合政権は、修正法案に反対していた。しかし、無所属6人のうち5人までが賛成、もともと保守色の強いボブ・カッター無所属議員だけが保守連合与党と歩調を合わせた。

 13日の上院では、2018年の上院で原法案に賛成していたデリン・ヒンチ無所属議員が修正案でセキュリティに隙ができることを懸念したが、修正案が通過してもセキュリティが保たれることの説明があり、労働党、緑の党にヒンチ議員を含む4人の無所属議員が法案に賛成票を投じた。

 モリソン首相は、「この法律が成立すればクリスマス島の難民収容所を再開する。私や政府の任務は、議会がこの法律を成立させたことが国境警備が弱体化することになるのを極力防ぐことにある」と語った。

 これに対して、医師の立場から疾病・負傷難民を医療施設の整ったオーストラリアに移送し、治療することを提唱してきたケリン・フェルプス下院議員は、「この法律には難民船が増える理由は何もない」と否定し、労働党のマーク・ドレイファス影の法務長官も、「モリソン首相はウソを支持することがうれしいらしい。人間密輸業者に再び難民船を仕立てることを激励しているのも首相だし、メディアが首相のウソを追及すると今度はジャーナリストに恫喝をくわえ出した。我が国の首相にはふさわしくない人物だ」と語っている。

 クリスチャン・ポーター法務長官はモリソン首相よりも言わなかった「新法では連邦政府は2人の性犯罪容疑者のオーストラリア侵入を阻止することができない」との発言をしている。

 クリスマス島のデビッド・プライス行政官は、「島の医療施設は疾病難民の治療ができるほどに整っているわけではない。クリスマス島の難民施設を再開するというモリソン首相の発言はいつもながらの反射的反応だ」と政府を批判している。
■ソース
Senate passes controversial refugee evacuation bill, Scott Morrison says new laws ‘weaken our borders’

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