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「パワーハウス博物館移転計画は撤回すべし」

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議会調査委員会、トラストが州政府に勧告

 シドニー市内ウルティモ地区の応用美術科学博物館(MAAS、パワーハウス博物館)移転問題を調査していたNSW州議会調査委員会と建造物文化遺産を管理するナショナル・トラストは、博物館をパラマッタに移動し、博物館跡地を民間の開発業者に売却する計画を撤回するよう勧告した。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 調査委員会の調査は2年半に及んでおり、移転計画は現グラディス・ベレジクリアン政権の前のマイク・ベアード州首相の時期に始まっているが、移転には文化界からも強い反対が起きていた。

 また、博物館が資金集めとして開いたパーティの「ファッション・ボール」は莫大な予算を使い、基金集めに失敗した上に出席者が泥酔するなどの不祥事があり、館長が引責辞職している。これについても調査委員会は移転問題の影響で博物館の風土が頽廃したと批判している。

 調査委員会は12回の公聴会を開き、意見書は173通、さらに34通の補助意見書を受け取っている。その結果、「当調査委員会は、博物館のパラマッタ移転が必要とも、また対投資効果に優れているとも、シドニー都市圏西部の住民のニーズに応えるものとも、さらにはこの調査委員会の証言席に座った人々の懸念に十分に応えたものとも考えることはできない」として、移転計画を「文化への投資の名をかたる不動産取引であり、利益を得るのは不動産開発業者だけだ」と厳しく結論している。

 調査委員会は射撃遊漁農業党のロバート・ボーサク委員長の他、デビッド・シューブリッジ緑の党議員、労働党議員2人、与党保守連合議員3人で構成されており、シューブリッジ委員は、政府の移転計画報告書に関して、「50万点を超える博物館の優れた所蔵品について触れた80ページの報告の中で1785年のボウルトン&ワット蒸気エンジンや、かつて南太平洋を横断し南アメリカまで初めての飛行記録をつくったカタリーナ飛行艇についてはわずか4行しか述べられていない」と評している。

 また、移転計画を撤回し、代わりに現博物館に投資して改修拡充することやシドニー都市圏西部およびパラマッタ市には世界水準の博物館分館を建設することを勧めている。

 しかし、ベレジクリアン州首相は、「もう引き返しはできない。パワーハウス博物館は将来のシドニー西部の一部だ」と語っている。
 3月後半には州議会選挙が行われるため、州政権には大きなプレッシャーがかかっている。
■ソース
Inquiry, National Trust urges Premier to abandon Powerhouse Museum move

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