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連邦環境相がアダニ社の炭鉱開発計画に環境認可

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カーマイケル炭鉱認可にQLD州選出議員からの催促

 4月9日付シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)は、メリッサ・プライス連邦環境相が、インド系複合企業アダニ社の申請していたギャリリー炭田のカーマイケル炭鉱開発計画に最終的な環境認可を出した。

 ギャラリー炭田のこの炭鉱開発計画には国民の間の反対運動も強く、世界各国で気候変動対策の一環として石炭離れが進んでいる中でオーストラリア経済が石炭開発に依存する象徴になっていた。また、豪産石炭の中では比較的低質の石炭であることからも銀行の融資が受けられず、アダニ社が自己資本で開発を進めるとしていた。また、QLD州政府の融資はグラッドストン積み出し港までの鉄道建設に充てられることになっている。

 今回の環境認可は同社が提出していた地下水管理計画に対して与えられたもので、CSIROとGeoscience Australiaが、計画は科学的基準条件を満たしていると判断したことを受けているが、QLD州では有権者の間で炭鉱開発支持の意見が強いとされており、QLD州出身連邦議員からは「5月半ばの連邦総選挙前に認可を出さないと環境相更迭を要求する」と威嚇されていた。

 この環境認可で同炭鉱開発に対する連邦の認可は全て出尽くしたことになり、後はQLD州政府の最終認可待ちということになるが、QLD州政府は連邦選挙後まで引き伸ばす公算が強いとみられている。

 同炭鉱開発はQLD州でこそ有権者の支持が強いが、NSW州やVIC州の都市部では自由党支持者の間でも炭鉱開発は気候変動問題と結びついて反対論が強く、都市部選挙区の自由党議員は認可を連邦総選挙後に引き伸ばすよう望んでいた。

 また、環境保護派は、「アダニ社の炭鉱計画に対しては古代からの膨大な地下水を湛えた大鑽井盆地、地下水を水源とする水系に悪影響があり、農家や市町村住民の水不足を招くと主張している。一方、QLD州政府はアダニ社に対して特別な取水権ライセンスを与えており、同社は2077年まで無制限に地下水をくみ出すことができる。

 環境認可発表に伴い、プライス大臣は、「同炭鉱開発計画は、さらに9件の環境計画に対するQLD州政府の認可を必要としており、また、採炭を始める前に連邦政府の厳しい認可条件を満たさなければならない」と発表している。
■ソース
Environment Minister Melissa Price signs off on Adani project

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