モリソン発言に「そんな数字は出していない」と財務省
連邦総選挙戦の始まっている4月12日朝、スコット・モリソン連邦首相やジョッシュ・フライデンバーグ財相が、「財務省から提出を受けた試算によると、労働党の税制改革は3,870億ドルの増税になることが明らかにされている」と発言した。
与党保守連合はこの数字を繰り返しているが、労働党が財務省に問い合わせたところ、「当省は野党労働党の税制の試算などすることはないし、数字を政府に提出したこともない」としており、首相発言と真っ向から対立している。
ABC放送(電子版)が伝えた。
この食い違いを取り上げた労働党は与党保守連合の虚偽として追及の構えを示している。
保守連合は、「労働党が公約として掲げている税制改革で今後10年間に3,870億ドルの増税になる。この数字は財務省の数字だ」としているが、具体的なモデル化を発表していない。
しかも、その後にクリス・ボウエン影の財相がフィリップ・ゲジェンズ財務省事務次官からの書簡を発表している。
ゲジェンズ書簡は、「保守連合が政策のコスト計算を求めてきた際には野党のことについては何も触れなかった。その政策に基づいて担当職員がコスト計算し、選挙管理期間が始まる前に税制分析を財相の執務室に渡した。政府の求めで特定政策のコスト計算をする場合にはそれぞれ単独ベースでコスト計算しており、政策間の相互関係については考慮していないことを伝えている。そのため、省では合計額を提出することはしていない」と述べている。
選挙管理期間に入ると省庁は選挙期間が終わるまで与野党に対して中立を守ることが定められており、ゲジェンズ事務次官は、「保守連合は特定税制を示してコスト計算を求めたのであり、労働党の税制について求めたのではない。財務省はあくまでも中立を守ってきた」と語っている。
ボウエン影の財相は、「これはスコット・モリソン首相にとっては屈辱的な諌言だ。(誰を信頼するか?を選挙スローガンにしている)スコット・モリソン首相が経済に関しても信頼できないことが確かになった」と語っている。
労働党の税制のコスト計算については議会予算局が行い、労働党に提出しており、財務省はタッチしていない。ただし、労働党は、保守連合の税制改革が高額所得者に厚く、低額所得者に薄い不公平税制としており、「より公平な税制」を掲げている。
■ソース
Labor accuses Coalition of lying over claims its plans will cost Australians $387 billion in taxes