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「個人のバイオメトリック・データを悪用される危険」

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出勤記録に電子指紋照合拒否の男性、解雇に勝訴

 QLD州の製材所で、新しい出勤記録システムで指紋を電子的に照合することを経営者から要求された男性がこれを拒否し、解雇された。男性はこれを不当解雇として裁判に持ち込んだ結果勝訴している。

 この判決は大きな反響を呼ぶ可能性がある。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 男性はジェレミー・リー氏で、新しく導入された電子指紋照合システムを拒否した理由として単にプライバシーの問題ではなく、「現代では指紋は重要なバイオメトリック・データになっており、雇用主といえど他人に譲り渡すことはできない。また、第三者に悪用される可能性もある」と語っている。

 指紋の電子照合を拒んだ結果、リー氏は解雇された。

 リー氏は弁護士を頼まず、自分でFair Work Commission(FWC)の委員全員の前で陳述し、勝訴している。

 人権弁護士事務所で知られるモーリス・ブラックバーン弁護士事務所の雇用関係法担当主任のジョッシュ・ボーンスタイン弁護士は、「素晴らしいできごとだ。非常に高度な法的問題を扱って自分で陳述し、めざましい判決結果を獲得した。私のこれまでの経験でもジェレミー・リーのような人物は何人もいなかった」と語っている。

 さらに、「リー氏のケースはプライバシーとテクノロジーの交差する新しい複雑な問題が含まれており、法制そのものが現実に追従するために苦労している分野だ」と語っている。

 リー氏は、「スペリアー・ウッドの雇用主は、指紋照合システムを承諾させるため、3か月にわたり様々な圧力をかけてきた。自分には前科はないし、警察と問題を起こしたこともない。職場でドラッグやアルコールの検査をすることにも反対しない。しかし、バイオメトリック・データを人手に渡せば悪用される可能性もある」と主張している。

 最初の訴えはプロ・ボノ弁護士とFWC委員一人の立ち会いで開かれ、リー氏は敗訴したが、控訴し、委員全員の出席で開かれた。しかし、リー氏は弁護士を立てず、自分で陳述を行った。法的に複雑な分野であったが、リー氏は「自分のバイオメトリック・データは他人に譲り渡すことのできないデータ。自分の合意なしで誰もそれを手に入れることはできない。私が雇用主にバイオメトリック・データの譲渡を拒んだために解雇されたのなら、解雇は違法ではないか」と論じた。

 しかし、FWCの委員は全員一致で、「リー氏の指紋とバイオトリック・データを会社が使用することをリー氏が拒んだことでリー氏を解雇した会社の行為は、プライバシー法が雇用主に要求する手続きを踏んでいない」と判断、会社の不当解雇と判決した。

 ボーンスタイン弁護士は、「現在、法制はますます雇用主に有利な内容になってきている。今回のリー氏の勝利もプライバシー、テクノロジー、法制の難しい関係を浮き彫りにしている」と語っている。
■ソース
Jeremy was fired for refusing fingerprinting at work. His case led to an ‘extraordinary’ unfair dismissal ruling

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