デーリー・テレグラフ紙が名誉毀損記事訴訟で敗訴
オスカー賞受賞のオーストラリア人映画俳優、ジェフリー・ラッシュ氏が、共演女性に対するセクシャル・ハラスメントがあったとする内容の記事を掲載したネーションワイド・ニューズ系のデーリー・テレグラフ紙を相手取って名誉毀損訴訟を起こしており、先に同紙に名誉毀損行為があったとの判決が出ていたが、5月23日のABC放送(電子版)は、敗訴したデーリー・テレグラフ紙に対して、原告のラッシュ氏に290万ドル近い賠償金を支払う命令が下された。
ABC放送(電子版)が伝えた。
記事内容は、2015年から16年にかけてシドニー・シアター・カンパニーの「リア王」の上演期間に主演のラッシュ氏が競演のエリン・ジーン・ノービル氏に対して不適切な行為をしたというもの。記事にはノービル氏の氏名は出ておらず、ノービル氏も同紙の取材に応じなかったとしている。しかし、裁判途中で証言台に立つことが強制された。
同紙は、「事実の報道」を根拠とする防御を行ったが、3週間の公判の後に同防御は失敗に終わり、その後は予断と偏見を理由として控訴を行っていた。
5月23日、連邦裁は、賠償金総額を287万ドルと計算しており、内訳として、記事出版後の過去の経済的損失を100万ドル以上と算定、将来的な経済的損失を$919,678、さらに利息総額を$42,000と算定している。
ラッシュ原告の弁護士、スー・クリスタントウ弁護士は、「原告側は$50,000の和解で収めることを提示したが、ネーションワイド・ニューズ社は「事実」の防御を追求するとして和解を蹴っている。
その後、被告側は、マイケル・ウィグニー判事に対して「偏見」を理由に同公判の担当を外れるよう要求して却下されるなど、様々な戦術を使ったが、判事によってことごとく封じられており、最終的にはテレグラフ紙の敗訴が決まるとその判決を批判する記事を出版した。そのため、クリスタントウ弁護士が、裁判所に「判決の報道規制」を申請する始末になった。
■ソース
Geoffrey Rush awarded almost $2.9 million after defamation win