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移民相のニュージーランド人追放に連邦裁が譴責

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「ビザ取消控訴中の追放は違法」と判事

 ニュージーランド国籍の男性が豪移民省にビザを取り消され、ニュージーランドに強制送還されたことで、「ビザ取消に対して、男性が控訴しているさなかに男性を強制送還したことは違法。ニュージーランドで男性を捜し出すよう」、デビッド・コールマン移民相と移民省を譴責し、命令する判決を下した。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。

 ジェームズ・オルソップ連邦裁首席判事が文書で判断を出したもので、「大臣と省は、男性に対して国外追放に法的控訴を行うために十全かつ妥当な機会を与えなかった。男性を捜し出し、男性に告知しなければならない」と述べている。

 オルソップ判事は、何者に関しても、国外追放の決定に対して法的に対抗し、追放措置差し止め請求をするのに十分な機会を与えずに強制送還する行為は法廷侮辱罪にもなりかねない、としながらも、この案件の場合には省職員の行為が不適切だったと判断することはできないとして、「口語的な言い方を許してもらえば、この問題の場合、これでほぼ十分というのは決して十分とは言えない、ということだ。国外追放の決定に対して法廷において法的対抗措置を取っている間は何人と言えども国外追放を受けることがあってはならず、大臣がその責任を取るべきだ」と述べている。

 この判決は、5月18日の選挙の3日前に下されていた。

 この事件の男性、ブルース・モアナ氏(31)は、2018年8月31日にニュージーランドに送還された。その3日前にコールマン議員がピーター・ダットン内務相から移民大臣の席を引き継いでおり、また、強制送還の3週間後に、強制送還決定に対するモアナ氏の控訴が連邦裁で審理される日程に組み込まれた。

 オルソップ判事は、「大臣や省の手続きに満足できなければ、あるいは公式手続きを取ってもニュージーランドでモアナ氏の所在が突き止められなければ、大臣はニュージーランドの新聞にモアナ氏捜索の広告を掲載することを命じる」と述べている。

 モアナ氏は13歳の時からオーストラリアに住んでおり、2005年にニュージーランド人が終生オーストラリアに居住できる444ビザを交付されている。しかし、モアナ氏が無免許運転、財産詐取、盗品所持、自動車窃盗、空き巣、暴行などの犯罪行為で有罪判決を受けた後、ビザを取り消された。

 モアナ氏は、ビザ取消に対して控訴しようとしたが、法律援護のないまま、期日内に適正な控訴書類を提出することができず、敗訴した。そのため、ビザ取消に対して適切な通告を受けておらず、そのため、公正な手続きの機会を与えられなかったとして連邦裁に控訴した。しかし、その審理が始まる前にモアナ氏は強制送還されている。
■ソース
Judge reprimands minister over NZ man’s deportation

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