クライストチャーチ・モスク乱射事件の豪人容疑者
2019年3月15日金曜日、ニュージーランド南島クライストチャーチ市の2つのモスクで自動小銃を乱射、51人を殺害、40人を超える負傷者を出したオーストラリア人、ブレントン・タラント被告人(28)に対する予審がクライストチャーチ高裁で開かれた。タラント被告人は北島オークランド市の重警備刑務所に収容されており、ビデオ・リンクで出廷、罪状認否で51件の謀殺、40件の謀殺未遂、1件のテロ行為すべてに罪状を否認した。タラント裁判は2020年5月から開始される。
ABC放送(電子版)が伝えた。
ニュージーランドのテロリズム抑制法はアメリカで起きた2011年9月11日の同時多発テロ事件を受けて制定されたもので、同法が適用されるのはこの事件が初めて。
クライストチャーチ高裁の法廷には被害者の家族らと事件の負傷者ら約80人が傍聴した他、法廷の他の部屋も傍聴を希望する市民に開放された。
タラント被告人は弁護を自分で行う予定と報道されたが、オークランドのシェーン・テイト、ジョナサン・ハドソン両弁護士が弁護人を務めている。
ビデオ・リンクでタラント被告人が罪状を否認すると廷外にいた家族や負傷者から怒りの声が聞こえた。2つめの現場になった市東部リンウッド地区のモスクで自動小銃を持ったタラントに詰め寄り、タラントを追い返したため、事件の拡大を防いだ英雄、アブドゥル・アジズ氏は、「タラントは卑怯者だ。見ていて気持ちのいいものではないが、彼の醜い顔を見なければならないと思う」と廷外で語っている。
タラント被告人はNSW州北部のグラフトン市で育ち、オーストラリア国内に住んでいたが、犯行数か月前にニュージーランド南島ダニーデン市に移っている。また、過去にヨーロッパ、東南アジア、東アジアなどに出かけており、過激な白人優越主義に深まっていったと見られている。
また、銃砲ライセンスも持っており、ダニーデン郊外のライフル・クラブに所属して合法的に凶器の自動小銃を購入している。
しかし、オーストラリアでもニュージーランドでも過激派としてはマークされていなかった。
事件後、ジャシンダ・アーダーン首相は、自動小銃など高性能ライフル銃を禁止する法律を成立させ、インターネットでの残酷なビデオの流通を阻止する国際的な制度の発足を訴えている。
■ソース
Christchurch shooter Brenton Tarrant pleads not guilty to murder, terrorism charges