ナショナル・オーストラリア銀行が宣言
6月14日、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)が、「国内小売業界は2008年の世界金融危機(GFC)以来の不況」と宣言した。
シドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)が伝えた。
例年なら「年度末セールス」が始まる時期だが、家主もテナントも白旗を掲げかねない調子だとして、「ただでさえ小売業界を景気後退が取り巻いている上にシドニー地域の小売業界は冬物を売りさばき、春物の入荷に備えなければならないというのに季節外れの温暖な気象が続いており、冬物が売れない。
店を持つ家主やテナントが消費者を呼び込もうと努力しているにもかかわらず、オンライン・ショッピングも勢力を伸ばしており、Citiでは、ショッピング・センターの価値が今後も下がり続けるものと予想している。
NABのアラン・オスター・チーフ・エコノミストは、「商品流通産業、特に小売り部門は明らかに不況に入っており、動きが弱まっている。それだけでなく製造業も追うように続いている」と述べており、NABの5月のマンスリー・ビジネス・サーベイで、「小売業界はGFC以来の最低水準になっており、消費者は、生活必需品以外のものを買うのに非常に慎重になっている。それというのも収入の伸びが減速を続けており、また世帯の負債は大きくなっている。その上に住宅価格が下がり続ける不安を抱えているということがある」と語っている。
また、「信頼感が上向きに転じても長続きはせず、この状況はすぐには改善に向かう様子はない。労働市場の転回点に先立つ兆候として雇用指数の監視を続ける」と語っている。
豪統計局(ABS)の小売り売上データの4月最新版では、2月に0.8%上昇、3月に0.3%上昇した後、0.1%下がっており、暗い見通しの根拠になっている。
NSW州のトレンド・タームでは、2019年4月までの1年間の小売消費成長率は1.7%で、年間成長率としては過去7年間でもっとも小さい。
■ソース
‘Levels not seen since the GFC’: NAB calls the retail recession