1956年以来の伝統も新しい対テロ法制に勝てず
NSW州北部マウィランバの町で1956年以来続いてきたバナナ・フェスティバルが、対テロ法制に基づき1万ドルの警備費を負担しなければならないことになり、遂に地域住民の楽しみだったフェスティバルが中止の憂き目にあった。
ABC放送(電子版)が伝えた。
同対テロ法制によると、このフェスティバル実行許可条件として、安全防護柵、交通管制計画、警備員配備などが定められており、その経費が1万ドルにのぼるとされている。
NSW州警察は、「フェスティバル主催者、ツイード・バレー・カウンシル、警察は参加者の安全を確保する責任を負っている」と発表している。
バナナの産地であるツイード・バレーの町、マウィランバのフェスティバルは64年の歴史を持ち、市内を数々のフロートが行進するフェスティバルはこの地域の住民の生活に溶け込んだカレンダーだった。
キャロル・マッジ・フェスティバル統括責任者は、「今年初めて警察から、テロリストの車の突進防止措置を取らなければならないと伝えられた。とても1万ドルの金を出す力はない。小さな町の小さなフェスティバルなのに、あれもこれもしなければならないと言われて、今年はフロートをショーグラウンドに並べることにした。フェスティバルも今年で最後になるかも知れない。イスラム国メンバーがバナナが気にくわないからとマウィランバまでやって来て、フロートに乗った6フィートのバナナ・ジムに激突するなんてことをやるかしら。とてもそうは思えないけれど」と語っている。
隣のリッチモンド・バレー・カウンシルでは、警察の許可条件を満たすため、カウンシルのゴミ回収車をパレード沿道に配置するなどの方法を採用しており、「ガイドラインに問題はあるが、テロの危険も高まっているのではないか。シドニー都心部などは警戒が厳しくなっているため、テロ行為をしようとする者は郡部のフェスティバルをターゲットにすることを考えるのではないか」としている。
一方、マウィランバの住人、カーメン・スチュワートさんは、「対テロ法制が結局人々が集まることを妨害し、地域の伝統を捨てさせ、地域コミュニティの信頼関係を崩していくのではないか」と語っている。
■ソース
Murwillumbah Banana Festival forced to cancel annual street parade due to cost of anti-terror rules