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QLD州政府、80年前の「盗まれた賃金」賠償同意

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先住民族労働者賃金総額1億9,000万ドル

 QLD州政府は、80年前に遡り、先住民族労働者への未払い賃金を賠償することに同意した。総額は1億9,000万ドルに達する見込み。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 QLD州で働いていた1万人を超えるアボリジニ、トーレス海峡諸島人の労働者は、州機関が賃金を保管するとして預かったまま遂に支払われなかった額が総額2億ドル近くになっていた。

 QLD州のアボリジニのリーダー、ノエル・ピアソン氏の叔父にあたるハンス・ピアソン氏が、1939年から72年までの期間の未払い賃金の返還を求める集団訴訟を起こしていたが、このほど、QLD州政府と集団訴訟代理人の弁護団との間で原則的合意を見た。

 集団訴訟の資金を提供したLitigation Lendingのスチュアート・プライス氏は、「10,063人の原告団を率いて州政府と合意に持ち込んだハンスの功績は大きい」と語っている。

 2016年に連邦裁に提出された申立書には、「QLD州政府は、アボリジニの人々の金を守ると言いながら怠ったことから、アボリジニの人々の信頼を裏切った。私達は10年から12年にわたり、ただ働きをさせられた。正義が行われなければならない」と述べられている。

 ハンス・ピアソン氏は、合意が成立したことを喜んでいるが、これほど長年かかったことには憤懣を感じているとしながらも、「現QLD州政府がこの合意を行ったことは称賛する」と語っている。

 ピアソン氏の場合、1950年代から60年代にかけて、牧場の仕事で7,000ポンド稼いだはずで、州北部に家を買って一家を養うつもりだった。しかし、警察署に呼ばれ、妻と共に警察署に行ったところ、渡されたのは28ポンドの小切手だけだった。「これだけ?」と訊いたところ、「そうだ。10年働いてこれだけだ」と言われた。

 さらに、「この問題を持ち込んだが、まるで煉瓦壁に頭をぶつけているような感じだった。自分は今80歳だが、働き始めた時は14歳だった。大勢の人が同じようにあちこちの仕事で働いたが全額を支払ったところはまったくない」と語っている。

 結局、ピアソン氏には夢の家は手に入らず、40年間公共住宅に暮らし、妻も兄弟も亡くなっている。
■ソース
Queensland Government to pay $190 million settlement over unpaid wages

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