約500棟のビルに州財政単独で経費補助
ダニエル・アンドリュース労働党VIC州政府は、州内のビルの外装材に可燃性材料が使われているところはすべて不燃性材料に交換する計画を発表、自費で交換できないアパートメント・ビルなどの場合には州財政から補助するとしている。
ABC放送(電子版)が伝えた。
イギリスのロンドンで起きた火災で72人が死亡したグレンフェル・タワーは粗悪な可燃性材料を使ったビルの外装が火の回りを速くした。また、その後にはメルボルン市内でも死傷者は出なかったものの、炎が建物を外装材を伝って上昇する光景がテレビニュースで流れ、可燃性外装材の恐ろしさを目に焼き付けた。
また、VIC州政府は連邦政府にも6億ドルの予算の一部を負担するよう求めたが連邦政府はこれを拒絶した。そのため、この6億ドルの半分はビル建築許可手続き料を大幅に引き上げることでまかなう他、可燃性外装材を使った建築業者を追及し、経費を業者から取り立てることもすると発表している。
VIC州政府の発表は、多額の工事費に直面するアパートの持ち主にとっては朗報ではあるが、消費者団体はこの予算では不足すると見ている。
この計画は、テッド・ベイリュー元自由党州首相とジョン・スウェイツ元労働党州副首相を長とするVIC州外装材調査タスクフォースの35項目にわたる勧告案の一つとして出されていた。
アンドリュース州首相の要請に対して、カレン・アンドリュース連邦産業相は、「連邦は州のATMではない。この問題は州の責任だから自分達で工面すればいい」と返事している。
一方、消費者団体、VIC州建築行動グループのアン・パテン氏は、「この経費は何十億ドルにもなる。6億ドルでは不足するだろう。この問題は納税者にとっては何の関係もない話だが、問題を引き起こした張本人達は何のとがめも受けずに儲けを握って立ち去っている。既存の法制を厳格に執行し、法制を無視した者を厳しく処罰する能力が必要なだけだ」と語っている。
アンドリュース州首相は、「可燃性外装材を使った不届きな人間や企業から外装工事費をいくらかでも回収することを計画している。そのためには、アパート・ビル建築などで会社を設立し、工事が終わると会社を解散して責任を逃れようとする者を取り締まり、処罰する法律が必要だ。また、集団訴訟で追及ができない場合に州が代わりに企業や責任者を追及できるようにすることも計画している」と語っている。
調査タスクフォースは、72棟がきわめて危険、409棟が危険、388棟がやや危険との判定を下した。
■ソース
Flammable cladding to be stripped from buildings under Victorian Government plan