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ミュージック・フェスティバルでの6人死亡事件結審

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医療不足、警察過剰取り締まり、教育不足など

 2017年から2018年にかけての夏にNSW州のミュージック・フェスティバルで若者6人が違法薬物で死亡した事件は、過去2週間にわたって、シドニー市内グリーブ地区の検視法廷でハリエット・グレアム副検視官が審理を行っていたが、このほど結審した。

 検視法廷の判断は次の夏のフェスティバル・シーズン直前の2019年10月に報告書が提出される見込み。

 ABC放送(電子版)が伝えた。

 グレアム副検視官はバイロン・ベイのスプレンダー・イン・ザ・グラスを訪れ、ドラッグ・テスト・サービス試験実施を視察した。

 専門家は会場での処罰を伴わないドラッグ・テスト・サービスを支持しているが、同時に大勢の死者を出した原因について、ドラッグ・テストだけでは防ぎきれないと証言している。

 フェスティバルによっては入場客1万5,000人に対して医師1人の比率だったが、数だけでなく駐在医師の資格も問題にされた。また、救急隊からは「リーダーシップ不足」も指摘されている。

 国内フェスティバルでは警察は「ゼロ寛容」の厳格取り締まりと厳罰主義で臨んでおり、そのためにむしろ悲惨な結果を招いたと指摘されている。入場客の若い女性は警察官に脱衣検査を2回も受け、いずれも違法薬物は発見されなかったが、女性は屈辱的な思いをしたことから二度とフェスティバルには行かないと証言した。また、麻薬犬を目撃した観客の10%が薬物をその場で飲み込んでおり、そのため、19歳の女性が死亡している。

 フェスティバルを視察したグレアム検視官は、「会場入り口のものものしい警備には自分も気分が落ち着かなかった」と語っている。

 また、研究者のケイトリン・ヒューズ博士は、「麻薬犬はほとんど抑止力にはなっておらず、むしろ、入場客が場内で正体不明の薬物を買うというより危険な事態を招いている」と証言した。

 夏のフェスティバルは気温も高く、体温も上がるため、これが過剰服用の影響を増悪させること、しかも会場では体を冷やす水も、飲み水も極端に不足することが指摘された。

 また、ドラッグ教育については「キャッチ22」的な状況をもたらすことが指摘された。Drug and Alcohol Research and Training Australiaのポール・ディロン所長は、「ドラッグ教育が早すぎると若者達が早くからドラッグを試す結果になり、遅すぎると若者達はドラッグの危険を買いかぶることになる」と証言している。会場で薬物を試した若者も危険は知っていても死者が出るとは思っていなかったという証言も出された。

 また証言者はプラグマチックなオランダの方式を取り入れるべきだと語っている。
■ソース
The complex forces at work behind drug deaths at music festivals

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