オーストラリア国民に料理の楽しさを伝えた先駆者
7月24日、オーストラリア国民に料理の楽しさを伝えたクックブックの著者、マーガレット・フルトンさんが死去。94歳。
ABC放送(電子版)が伝えた。
今でこそ料理番組がいくつも毎日のように放送され、セレブリティ・シェフがスターのようにもてはやされ、一つの都市で世界中の料理がレストランで味わえるようになっているが、昔はそうではなかったことを述懐するオーストラリア人も多い。1968年、「マーガレット・フルトンのクックブック」を出版し、その後も旅行と料理の文章で活躍を続けたフルトンさんは、1983年にオーストラリア勲章(OA)を授かっている。
7月24日、フルトンさんの家族が、「本日早朝、素晴らしい母、祖母、曾祖母が亡くなった」と発表している。
スコットランド生まれのフルトンさんは世界中を旅して得たものを自分の料理やクックブックに注いだ。そのおかげでオーストラリア国民はセレブ・シェフが現れるより何十年も前に「肉とジャガイモ、ニンジン、グリーンピースだけ」の食生活からイタリア、フランス、ギリシア、スペイン、中華など多彩な料理の作り方と味わい方に触れることができるようになった。
フルトンさんのクックブックは150万部を超えるベストセラーになり、国民は老若男女を問わず調理の仕方を学んだ。
フルトンさんは20冊を超える本を著し、女性雑誌の「Woman’s Day」では料理編集長も務めており、料理人でありジャーナリストであるという存在はフルトンさんを嚆矢としている。
フルトンさんは長年「オーストラリアの家庭の女神」と呼ばれさえしている。
1998年には、ナショナル・トラストの「100人の無形文化財」に選ばれ、2006年にはブレティン誌が、「オーストラリアでもっとも影響力のある人物」の一人に選んでいる。
■ソース
Margaret Fulton, who inspired Australians to undertake culinary adventures, is dead at 94