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騙されてドラッグ密輸の豪女性、海外刑務所に6年間

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連邦警察がカンボジア当局に通報したと認める

 ABC放送(電子版)の報道によると、2013年9月、ブリスベンで教師をしていたヨシェ・テイラーさん(41)がプノン・ペンに渡った時、すでに連邦警察(AFP)がテイラーさんの知らない事実をつかんで行方を追っていた。AFPは、テイラーさんを国内で取り調べず、カンボジア警察に通報し、カンボジア当局がテイラーさんの逮捕、さらに23年の懲役判決が下りるに任せていたことを認めた。

 テイラーさんはカンボジアの工芸品などをまっとうなディーラーに代わって販売するビジネスを始めるつもりでおり、また、プレシャス・マックスという友人の男を全面的に信頼していた。しかし、AFPは、プレシャス・マックスがプノン・ペンを根城に国際的なドラッグ・シンジケートの一員として活動しており、テイラーさんが運び屋をやらされていると突き止めていた。

 テイラーさんはブリスベン空港の税関検査を通過しており、プノン・ペンに向かった後で、AFPがカンボジア警察に通報している。

 AFPは過去にもインドネシア当局にオーストラリア人9人がバリ島でインドネシアのシンジケートからドラッグを受け取り、オーストラリアに密輸しようとしていることを通報し、9人の逮捕、さらに3人の銃殺刑に発展している。

 オーストラリア政府は、「外国で死刑に処せられる恐れがある場合には犯罪者をその国に送らない」ことを方針としており、当時、AFPがこの方針に反したことが批判の的になった。

 プノン・ペンの空港では、テイラーさんがプレシャス・マックスから預かって持ち出そうとしたバッグをAFPの通報を受けていた当局が切り開き、2kgのヘロインを発見、テイラーさんは裁判で23年の懲役刑を言い渡された。

 ところが、テイラーさんと同じケースでプレシャス・マックスに騙されて運び屋をさせられた他の被害者がオーストラリア国内で逮捕されたが裁判で無罪を勝ち取った事件があり、AFPはその事実を把握していたが、カンボジア当局に伝えなかった。

 同じ頃、メルボルン在住の女性は、「結婚を約束したプレシャス・マックスに、ラップトップのバッグをオーストラリアに持ち帰って欲しいと頼まれた」とAFPに話している。ラップトップ・バッグには2.1kgのヘロインが隠されていた。

 また、パース空港で逮捕された男性は、オンラインで知り合った女性から頼まれて運んだ荷物にドラッグが隠されていたことを告げられた。その女性というのもプレシャス・マックスの仲間だった。

 2014年5月、首謀者のプレシャス・マックスことプレシャス・シネメ・ヌウォコと一味の女の共犯者としてテイラーさんも裁判にかけられ、有罪を宣告されている。

 パースの男性は2014年に無罪評決を受け、メルボルンの女性は2015年に裁判の継続が破棄されている。しかし、同じ状況でありながら、テイラーさんは6年間カンボジア刑務所で過ごし、オーストラリアの弁護士らの尽力でようやく釈放されている。

 AFPは、「カンボジア当局への通報は警察官の協力関係。また、国内の裁判の結果を外国の警察に連絡することはAFPの仕事ではない」とABC放送に伝えている。

 Australian Lawyers Alliance National Criminal Justiceの広報担当者、グレッグ・バーンズ氏は、「AFPの行為は問題がある。裁判の公正、人権侵害、死刑制度のある国の司法制度にオーストラリア国民を渡すことはオーストラリアの警察がするべきことではない」と語っている。

 ABC放送の「Australian Story」は、ピーター・ダットンの内務相とクリスチャン・ポーター法務相にコメントを求めたが両者は拒否した。
■ソース
AFP admits role in Queensland woman Yoshe Taylor’s Cambodian prison hell

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